土器研究と考古学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 08:36 UTC 版)
日用品として使用される土器は、その可塑性ゆえに形や大きさ、装飾のバリエーションが豊富で、壊れやすいことから消費率も高く、一度壊れると再利用も難しい一方、すぐに補うことができるため、新陳代謝のスピードが速く、時期によって、用途や成形技法、形状がどんどん変化してゆく。このため、他の材質の道具よりもはるかに製作技術に富んでおり、その識別も容易であり、また、遺物としてみても、製作量そのものが多いばかりではなく有機質のもの(木・樹皮・皮革・骨など)と異なり、腐敗・腐朽することがなく半永久的に遺存する。このような特性から、土器出現以降の時代に関しては、土器には時代性や民族性が反映されやすく、考古学上の文化の変遷や地域性、生業や地域間交流などを知るうえで絶好の手がかりとなる。土器が考古資料として重視されるゆえんであり、ヨーロッパでは考古学の一部門として「土器学」という分野を立てている研究者もいるほどである。
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