品種開発過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 10:17 UTC 版)
アフリカイネは、3500年以上前にアフリカで品種化され、現地に適応した特性を持つ。しかしながら収量や栽培管理の面では、アジアイネの方が優位であり、450年ほど前から徐々にアジアイネの栽培がアフリカでも広がっていた。 ネリカの親となった2種類のイネは、異なる生物種である。その祖先野生種も異なり、アフリカイネ Oryza glaberrimaはアフリカに自生する O. barythiiから、アジアイネ O. sativaはアジアに自生するO. rufipogonから、それぞれ栽培化されたと考えられている。そのため、この2生物種の間で雑種を作った場合、不稔(結実率が低くなる)などの問題があった。 以下に、2008年時点で栽培されているネリカが、どのように育種されたかを説明する。しかしながら、育種の手法は様々なものがあるので、それ以外のネリカも同様の手法で育成されるわけではないことには留意が必要である。 WARDAでは、交雑を行う前に、まず親とするアフリカイネの選定を行った。1991年と1992年の2年間に1130系統のアフリカイネを栽培し、諸特性、特に雑草との競争に優れた8系統を選び出した。1992年に、陸稲タイプのアジアイネ5品種を母親として、アフリカイネの花粉を受粉させた。受精胚の生存率を上げるため、一部では胚培養(受精胚の人工培養)を行い雑種を作成した。この雑種に、さらにアジアイネを2回戻し交雑(水稲では4回)し、アジアイネに近づけた。この雑種後代を固定させるため、葯培養による半数体を倍加し、最終的に各性質に優れた系統を作出した。 こうして選ばれた系統が、さらに前述の農民参加型の品種選択法を経て、ネリカ品種群として普及に移されることになった。
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