呼吸器・心疾患患者、高齢者・小児のリスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 01:05 UTC 版)
「粒子状物質」の記事における「呼吸器・心疾患患者、高齢者・小児のリスク」の解説
一方、呼吸器疾患、特に慢性気管支炎や肺気腫を含めた慢性閉塞性肺疾患の患者においては、健康な人よりも沈着量・沈着速度ともに大きく特に気道の病変に応じて大きくなるほか、沈着量よりも沈着速度の方が大きく増加するという研究結果がある。環境省は2008年にこれらをまとめ、「COPDでは気道閉塞により全肺、特に気管支での沈着が増加する」としている。また粒子状物質への暴露は人の気道や肺に炎症反応を誘導するほか、粒子状物質が気道において抗原反応性を高めるアジュバントとして働き喘息やアレルギー性鼻炎を悪化させる作用や呼吸器感染への感受性を亢進させる作用が実験動物で認められ、人に関しては少なくともディーゼル排気ガス (DE) やディーゼル排気微粒子 (DEP) では喘息やアレルギー性鼻炎を悪化させる可能性があると結論付けている。また循環器への影響を示す報告もあるとし、実験動物では不整脈等の心機能の変化を示す報告があり、原因としては血管系の形態変化を促進する作用、凝固・線溶系に作用して血栓形成を誘導する作用が考えられているとしている。自律神経についても、実験動物と人とで差異はあるものの影響を及ぼすことが示唆されると結論付けている。 年齢や疾患の影響について環境省は2008年に、高齢者や小児について成人よりも影響が大きいという報告は存在するものの少数であるとしている。また既往疾患を有する者については影響があることが広く認められており、レビューが進められている段階ではあるが易感染宿主、アレルギー性の喘息、肺高血圧、虚血性心疾患の患者では粒子状物質に対する感受性が高まるという報告がある。
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