名曲喫茶でんえんとは? わかりやすく解説

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でんえん

(名曲喫茶でんえん から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/16 14:02 UTC 版)

でんえん
DENEN
でんえんの外観(2019年9月17日現在)
地図
店舗概要
所在地 185-0012
東京都国分寺市本町2丁目8番7号[1]
座標 北緯35度42分3.7秒 東経139度28分57.8秒 / 北緯35.701028度 東経139.482722度 / 35.701028; 139.482722 (でんえん)座標: 北緯35度42分3.7秒 東経139度28分57.8秒 / 北緯35.701028度 東経139.482722度 / 35.701028; 139.482722 (でんえん)
開業日 1957年
営業時間 午後1時 - 午後7時(木曜定休)[1]
最寄駅 JR中央線国分寺駅
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でんえん(DENEN)は、東京都国分寺市本町にある名曲喫茶である。店舗入口近くの看板柱には「名曲喫茶 でんえん」[1]、入口脇の看板には「クラシックと絵 でんえん」と記されている[2]。約1000枚のレコードを所持している[3]

概要

1957年昭和32年)創業[1]1924年大正13年)に建てられた米蔵を増改築し、店舗として用いている。開店当時から内装などはほとんど変わっておらず、当時の雰囲気が残ることから、ドラマのロケーション撮影などに利用されることもある[1][4]

創業者の新井熙盛は[5]、妻・新井富美子と結婚して間もなく会社勤めを辞めて、この店を開店した[2]。新井は多趣味な人物で、経営が軌道に乗ると店にはあまりおらず、写真撮影などの趣味に打ち込んでいたという[4]

最盛期には、店主夫婦の他に、3人の女性アルバイトをウェイトレスとして雇い入れていたが[4][5]1980年代後半になると、大手の喫茶店チェーン店が増えたこともあって、客足は減っていったという[6]

新井熙盛が1982年(昭和57年)に死去した以降は妻の富美子が店を守っているが[5]、創業60周年を迎えた2017年平成29年)時点のインタビューで、既に90歳になっていた富美子は「もう、1、2年で終わりたいですね。」と語っている[2]

内装

店内はL字型の構造となっているが、これはもともと入り口付近のスペースのみで店をはじめ、その後奥の空き地にバラック小屋を建てる形で増築したためである[3]。なお、入り口と奥のスペースにそれぞれスピーカーが設置されている[3]

内装のデザインは、熙盛の友人であり、名曲喫茶クラシックの初代オーナーであった美作七郎が担当した[7]。フルーツ皿と一升瓶の底で作ったシャンデリアや、風呂の洗面器を割って作ったランプシェードなどのインテリアは、開店当時のままである[8]。また、開店時からドイツ製のレジスターを使用しているが、壊れていて、閉めると開かなくなる[7]。なお、アメリカ製の鉄のストーブも同様に使われ続けている[8]1996年に常連客の看板屋が作り変えた看板以外は、開店当時の姿をとどめているとされる[8]

美術作家が作成した絵画陶器などの展示場所としても開放しており、近隣にある武蔵野美術大学東京造形大学の学生らの作品展などが開催されている[8]。2017年9月8日から2018年3月25日にかけては、美作の生誕110周年を記念した作品展を名曲喫茶ヴィオロン、名曲喫茶ルネッサンスとともに開催した[9][10][11]。また、武蔵野美術大学生の卒業制作の映画の舞台になったこともある[12]。なお、店内でのコンサートも行われている[5]

また、読書好きの富美子は、村上春樹の『1Q84』などの話題本を店に置いている[7]

著名な常連客

メニューなど

音響装置

設置されているスピーカーは、1960年代エレクトロボイス英語版製のものと[4]、フィリップス製のものである[3]。なお音響装置も名曲喫茶クラシックの美作が担当した[8]

1番リクエストが多いのは、パイヤール指揮の「パッヘルベルのカノン」のレコードであり、閉店時にもかけられている[8]。また、開店前には、コンチネンタル・タンゴのレコードがかけられている[8]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e 甘味婦人のスイーツ手帖 【第14回】名曲喫茶「でんえん」@国分寺”. Living多摩 (2014年6月30日). 2019年9月16日閲覧。
  2. ^ a b c 御年90歳、名曲喫茶のおばあちゃんが語る「終戦」と「戦後」。”. TABI LABO (2017年8月14日). 2019年9月16日閲覧。 - 新井富美子インタビュー 連載1
  3. ^ a b c d 『東京クラシック地図』交通新聞社、2016年6月30日、40-43頁。 
  4. ^ a b c d e 竹中直人、さいとう・たかを… 名曲喫茶「でんえん」を巡る冒険。”. TABI LABO (2017年8月15日). 2019年9月16日閲覧。 - 新井富美子インタビュー 連載2
  5. ^ a b c d e 石川幸夫 (2007年3月14日). “国分寺の名曲喫茶「でんえん」 店の灯ともし50年 夫の遺志継いだ新井富美子さん”. 朝日新聞・朝刊・多摩: p. 35  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  6. ^ 「ひっそりとドアを閉じます」― 90歳店主の“勇退の美学”。”. TABI LABO (2017年8月16日). 2019年9月16日閲覧。 - 新井富美子インタビュー 連載3
  7. ^ a b c d e f g h 「名曲喫茶よ永遠に」『男の隠れ家 臨時増刊号』2009年12月25日、 96-97頁。
  8. ^ a b c d e f g h 「今だから行きたい東西13店 名曲喫茶」『毎日グラフ・アミューズ』1999年1月27日、 101頁。
  9. ^ 名曲喫茶 ヴィオロン ホームページ”. meikyoku-kissa-violon.com. 2020年6月3日閲覧。
  10. ^ 甲斐みのり「クラシック喫茶。」『BRUTUS』2018年3月15日、 88-89頁。
  11. ^ 「音楽とコーヒー ヴィオロン 阿佐谷 閑静な住宅街のなかに、ひっそりと現れる小さな名店」『東京人』2017年10月、 10頁。
  12. ^ “[道を歩けば]大学通り 商店街、青春の通過点”. 読売新聞: p. 32. (2009年3月10日) 
  13. ^ “てくてく: 東京の軽井沢?国分寺 都塵忘れ、湧水に涼む”. 毎日新聞: p. 24. (2012年8月29日) 
  14. ^ a b 東京 大人の遊び場参照
  15. ^ a b “白熱(中央線の詩 第2部 60's: 2)”. 朝日新聞朝刊: p. 35. (2003年11月14日) 
  16. ^ “(オトコの別腹)タブレット純さん 「名曲喫茶でんえん」のミルクセーキ”. 朝日新聞夕刊: p. 6. (2017年9月22日) 

参考文献

関連項目

外部リンク


名曲喫茶でんえん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 02:34 UTC 版)

名曲喫茶クラシック」の記事における「名曲喫茶でんえん」の解説

店主友人であった七郎は、名曲喫茶でんえんの内装デザインを手がけた。また、音響装置店主とともに作成した

※この「名曲喫茶でんえん」の解説は、「名曲喫茶クラシック」の解説の一部です。
「名曲喫茶でんえん」を含む「名曲喫茶クラシック」の記事については、「名曲喫茶クラシック」の概要を参照ください。

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