同誌をめぐる議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 05:15 UTC 版)
「サイエンティフィック・アメリカン」の記事における「同誌をめぐる議論」の解説
1950年4月、アメリカ原子力委員会(AEC)は、水素爆弾に関する機密情報を明らかにしたとされるハンス・ベーテの記事を掲載した『サイエンティフィック・アメリカン』誌の出版差し止めを命じた。この事件は、経営者が変わったばかりの『サイエンティフィック・アメリカン』誌の歴史にとっては重大な出来事であった。発行者のジェラルド・ピエルは、この事件をマスコミにリークした。AECの決定は、問題のある内容を含む雑誌の初期プレスランの3000部を廃棄することを命じるものであり、「自由主義社会における焚書」であると受け止められた。その後の調査の結果、これはAECの過剰反応であったことが判明した。 2002年1月号には、ビョルン・ロンボルグの著書"The Skeptical Environmentalist"(『環境危機をあおってはいけない―地球環境のホントの実態』)に対する批判が掲載された。ケイトー研究所のパトリック・マイケルズ(英語版)は、この本が批判を受けている理由を「地球温暖化対策に対する年数十億ドルもの税金の流入を脅やかしている」ためだと述べた。ジャーナリストのロナルド・ベイリー(英語版)は、これらの批判は「不穏」(disturbing)で「不誠実」(dishonest)なものであるとし、次のように書いている。「"Science defends itself against The Skeptical Environmentalist"(科学は『環境危機をあおってはいけない』からそれ自身を守る)という書評欄の見出しは、馬脚を表している。宗教的・政治的見解は批判からそれ自身を守る必要があるが、科学は事実を決定するためのプロセスであるはずだ」 2007年5月号に掲載されたマイケル・シャーマーのコラムでは、イラク戦争からのアメリカの撤退を呼びかけている。これに対して、『ウォール・ストリート・ジャーナル』のコラムニストのジェームズ・タラント(英語版)は、『サイエンティフィック・アメリカン』のことを「リベラルな政治雑誌」と冗談めかして呼んだ。 この出版社は、2009年に大学図書館に対して、雑誌の年間購読料を印刷版で500%近く、オンライン版では50%近く値上げすると通告したことで批判された。 2016年9月号の社説で、大統領候補のドナルド・トランプの「反科学的」な態度やレトリックを攻撃した。同誌がアメリカ大統領の政治についてのコメントに踏み込んだのは、これが初めてだった。同誌は2020年10月号で、アメリカでCOVID-19のパンデミックが発生した際に、現職のドナルド・トランプ大統領が科学的根拠を否定したことを受けて、2020年の大統領選挙におけるジョー・バイデンへの支持を表明した。それを報じるコラムにおいて、同誌の編集者は「『サイエンティフィック・アメリカン』は、175年の歴史の中で大統領候補を支持したことは一度もない。今年はそうせざるを得ない。我々はこれを軽々しくしているわけではない」と表明した。
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