合言葉
『仮名手本忠臣蔵』10~11段目「天河屋」「討入り」 堺の商人天河屋義平は、塩冶浪士たちに味方して、討入りのための武器を調達した。しかし義平は町人ゆえ討入りに参加できず、そのことを彼は残念に思う。そこで塩冶浪士たちは、天河屋義平の姓の「天」と「河」を合言葉とし、討入りの夜、「天」「河」と声をかけあって、味方か敵か判断した。後にこれが、「山」と「川」というように誤り伝えられた。
『お熱いのがお好き』(ワイルダー) 禁酒法時代のアメリカ。葬儀場の奥の秘密の酒場へ、警察の男が客となって潜入する。客「ばあさんの葬式に来た」、受付係「当葬儀場のご利用は初めてですね」、客「旅に出ていた。今日は棺運びだ」という合言葉のやりとりの後、客は席へ案内される。数分後、警官隊が扉を破って乱入し、経営者であるギャングたちを逮捕する。
『恐怖の谷』(ドイル)第2部 ピンカートン探偵社のエドワーズは、「マクマード」と名乗って、犯罪結社スコウラーズに潜入する。「暗い晩はいやなものだ」という合言葉に、「不慣れな他国の者には」と答えて、彼は結社の一員と認められる〔*エドワーズは、スコウラーズの悪事の証拠固めをして警官隊を呼び、組織を壊滅させる。以後、彼はスコウラーズの残党に追われ、命をねらわれる→〔顔〕3〕。
『戦争と平和』(トルストイ)第4部第3篇 ドーロホフはペーチャを連れ、フランス将校の軍服を着て、フランス軍陣地の様子を探りに出かける。歩哨が怪しんで「合言葉は?」と聞くが、ドーロホフは「将校が戦線を巡視しているのに哨兵が合言葉を聞くという法はない」と叱りつけて、通り抜ける。
『日本書紀』巻28天武天皇元年7月 田辺小隅の軍が田中臣足摩侶の軍営を襲った時、敵味方を区別するため人に出会うたびに「金」と言わせ、そう言わぬ者を斬った。攻撃された足摩侶の軍は混乱したが、1人足摩侶のみは、とっさに合言葉と悟り、「金」と言って脱出した。
『二人の友』(モーパッサン) 普仏戦争のさなか、時計屋のモリソと小間物屋のソヴァージュが、パリ郊外で釣りをする。プロシャ軍が2人をスパイと見なして捕らえ、「フランス陣地へ入る合言葉を教えたら、放免してやる」と言う。しかし合言葉など知らぬ2人は何も答えられず、銃殺される。2人の釣った魚を、プロシャ兵はフライにして食べる。
合言葉と同じ種類の言葉
Weblioに収録されているすべての辞書から合言葉を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 合言葉のページへのリンク