右門捕物帳とは? わかりやすく解説

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うもんとりものちょう〔ウモンとりものチヤウ〕【右門捕物帳】

読み方:うもんとりものちょう

佐々木味津三作品八丁堀同心むっつり右門こと近藤右門主人公とする一連の時代小説昭和3年(1928)から昭和7年(1932)にかけて富士新聞、ついで朝日新聞連載昭和4年(1929)の「右門捕物帖一番手南蛮幽霊」など、嵐寛寿郎主演とする映画化作品多数制作された。


右門捕物帖

(右門捕物帳 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/19 06:20 UTC 版)

右門捕物帖』(うもんとりものちょう)は、佐々木味津三時代小説。また、これを原作とする映画、テレビ時代劇

主人公は同心の近藤右門。無口であることから「むっつり右門」の異名をもつ。岡っ引の伝六を伴い、数々の難事件を解決してゆく[1]

小説

時代小説の中でも捕物小説という種目が岡本綺堂の『半七捕物帳』から始まったが、それに続く作品の一つである。 雑誌『冨士』に連載、第一話が掲載されたのは1928年(昭和3年)3月。 むっつり右門こと八丁堀の同心近藤右門と、配下の岡っ引き伝六を主人公として書かれた時代小説である。

評価

推理小説家の都筑道夫は、本作について、『半七捕物帳』と比較して「がぜん派手になるかわりに、あるのは発端の異常性だけ」「きわめて魅力のある謎が、論理をまったく無視して、いいかげんに解決されるありさまには、泣きたくなるくらいで、もう推理小説としては読むにたえない。むしろ、右門のせりふの珍妙さには笑いがこみあげてくるし、その愚かな言動を地の文が、なんたる明察、疾風迅雷の行動、と持ちあげているおかしさで、ロバート・L・フィッシュの「シュロック・ホウムズの冒険」のようなナンセンス・パロディとしてなら、かなりの評価ができるだろう」[2]と評し、「むっつり右門の成功によって、捕物帳は推理小説から、怪奇時代小説に変貌した」[3]としている。都筑は、自作『なめくじ長屋捕物さわぎ』の中で、『右門捕物帖』の「首つり五人男」(第34話)と「幽霊水」(第24話)について、右門による解決の問題点を登場人物に指摘させた上で、別の解決を示している(「首つり五人男」と「水幽霊」、いずれも『からくり砂絵』所収)[4][5]。なお、都筑にはこのほか、パロディ短編『右門もどき』がある[6]

映画

嵐寛寿郎主演版
  • 右門捕物帖 一番手柄 南蛮幽霊(1929年、新興キネマ、監督:橋本松男)
  • 右門六番手柄 仁念寺奇談(1930年、新興キネマ、監督:仁科熊彦
  • 右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法(1932年、東亜キネマ、監督:山中貞雄
  • 右門捕物帖 拾萬両秘聞(1939年、日活、監督:荒井良平
  • 右門捕物帖 謎の八十八夜(1949年、東宝、監督:並木鏡太郎
  • 右門捕物帖 伊豆の旅日記(1950年、新東宝、監督:並木鏡太郎)
  • 右門捕物帖 片眼狼(1951年、新東宝、監督:中川信夫
  • 右門捕物帖 帯とけ仏法(1951年、新東宝、監督:安田公義
  • 右門捕物帖 緋鹿の子異変(1952年、新東宝、監督:中川信夫)
  • 右門捕物帖 謎の血文字(1952年、新東宝、監督:荒井良平)
  • 右門捕物帖 からくり街道(1953年、新東宝、監督:並木鏡太郎)
  • 右門捕物帖 妖鬼屋敷(1954年、東宝、監督:毛利正樹
  • 右門捕物帖 まぼろし変化(1954年、東宝、監督:丸根賛太郎
  • 右門捕物帖 献上博多人形(1955年、東宝、監督:志村敏夫
  • むっつり右門捕物帖 鬼面屋敷(1955年、東宝、監督:山本嘉次郎
  • 右門捕物帖 恐怖の十三夜(1955年、東宝、監督:志村敏夫)
大友柳太朗主演版
いずれも東映配給。

テレビ時代劇

  • 右門捕物帖(1982年 - 1983年、日本テレビ、主演:杉良太郎)
  • 右門捕物帖 血染めの矢 江戸-長崎 黄金強奪連続殺人に必殺の十手が挑む!(1989年12月28日、テレビ朝日、主演:杉良太郎

脚注

  1. ^ むっつり右門 とは - コトバンク
  2. ^ 都筑道夫「半七と右門のあいだ」『一人三人全集 1 時代捕物 釘抜藤吉捕物覚書』河出書房新社、1970年1月15日、389-390頁。 
  3. ^ 都筑道夫「解説」『久生十蘭全集』 IV、三一書房、1970年3月31日、351頁。 
  4. ^ 都筑道夫『からくり砂絵 なめくじ長屋捕物さわぎ』角川書店角川文庫〉、1982年3月10日。 
  5. ^ いずれも、『右門捕物帖』で描かれたのとよく似た事件が発生し、過去に同心の近藤右門が同じような事件を解決したことが説明されるが、探偵役の砂絵師「センセー」がその解決のおかしさを指摘した上で、参考にならないとして別に捜査を始める、という流れをとる。
  6. ^ 初出『オール讀物』1980年10月号。『捕物帳もどき』文藝春秋文春文庫〉、1984年、所収。

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