古細菌鞭毛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 20:27 UTC 版)
広範囲の古細菌に存在する。繊維部分は細菌よりもやや細い直径10-15nm、全長10-15µmのねじれたタンパク集合体である。これも細菌と同様の機能を持ち、回転により移動力を得る。顕微鏡下では細菌鞭毛と殆ど見分けがつかず、見た目の違いは若干細い事、大抵は複数の鞭毛が束になっていることぐらいである。このため、1990年代中ごろまでは細菌鞭毛と同一の構造とみなされていた。しかしながら、鞭毛を構成するタンパク質に共通点は一切なく、両者は異なる起源を持つと考えられる。 古細菌の鞭毛を構成するたんぱく質は、古細菌自身やグラム陰性細菌が持つIV型線毛と類似が見られ、同様に根元から構築される。IV型線毛は付着のための器官で回転力は一切与えないが、これに回転モーターなどが追加され鞭毛を成している。駆動トルクはATPの加水分解により得ているが、エネルギー変換効率は水素イオンやナトリウムイオン濃度差をエネルギー源に利用する細菌に比べて著しく低く、6~10%程度と見積もられている。 Halobacterium salinarumにおいて詳細に観察されている。
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