原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボムとは? わかりやすく解説

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原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/18 21:48 UTC 版)

『原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』
U2スタジオ・アルバム
リリース
録音 2003 - 2004年
ジャンル ロック
時間
レーベル アイランド(英)インタースコープ(米)
プロデュース スティーブ・リリーホワイト、クリス・トーマスダニエル・ラノワブライアン・イーノ、ジャックナイフ・リー、ネリー・フーパー、フラッド、カール・グランヴィル
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(英・全英アルバムチャート
  • 1位(米・Billboard 200
  • 4位(日本・オリコン
  • U2 アルバム 年表
    ザ・ベスト・オブU2 1990-2000
    (2002年)
    ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム
    (2004年)
    ザ・ベスト・オブU2 18シングルズ
    (2006年)
    テンプレートを表示

    原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』(げんしばくだんかいたいしんしょ ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム、How to Dismantle an Atomic Bomb)は、アイルランドロックバンドU2の11枚目のスタジオ・アルバム2006年のグラミー賞において最優秀アルバム賞および最優秀ロック・アルバム賞を受賞した評価の高いアルバムである。

    概要

    タイトルはボーナストラックの「Fast Cars」の歌詞の一節から。Bombとは先年亡くなったボノの父親ボブ・ヒューソンのことである。[1]

    当初、クリス・トーマスをプロデューサーに迎えてセッションを行っていたが、満足するものが出来上がらず、スティーブ・リリーホワイト、ブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ、フラッド、ジャックナイフ・リー、ネリー・フーパーなどの一流プロデューサーを次から次に注ぎ込んでなんとか完成させた。[2]

    自ら先駆けとなったロックンロールリバイバル・ブームに乗っかったエッジのギターがギンギンに唸り、アダムとラリーのリズム隊がドタバタ忙しいロックアルバムで、当時ボノは「ファーストアルバムのつもりで作った」とか「The Whoの『Who's Next』を意識した」とか「BuzzcocksSiouxsie and the BansheesEcho & The BunnymenなどU2を作ったバンドを聴いていた」と発言しており、Black Rebel Motorcycle ClubYeah Yeah Yeahsなど当世のバンドの名前にも言及していた。[3]

    アルバムのセールスは900万枚を超え、再びグラミー賞を多数受賞して商業的にも批評的にも大成功し、日本でもっとも売れたU2のアルバムとなったが、ボノは「曲は最高なのに部分が全体を超えていない」という趣旨のことを述べ[2]、音楽評論家のジョン・ウォーターズが「この20年もの間トップの座にあり、そこから滑り落ちまいとしているバンドによる、これといって特徴のないアルバム」という辛辣な評[4]があったからもわかるとおり、いまいち煮えきらない点があったのも事実。この頃からボノの政治活動が本格化し、レコーディングを休みがちだったことも一因かもしれない。

    なおアルバム製作中にフランスで本作のサンプルCDが盗まれ、ネット流出が心配される騒ぎが起こった。

    シングル曲「ヴァーティゴ」、「オリジナル・オブ・ザ・スピーシーズ」は、iPodのテレビCM曲として知られる。

    グラミー賞獲得歴

    • 最優秀アルバム賞(2006年)
    • 最優秀ロック・アルバム賞(2006年)
    • 最優秀楽曲賞 - サムタイムズ・ユー・キャント・メイク・イット・オン・ユア・オウン(2006年)
    • 最優秀ロックパフォーマンス・グループ部門 - ヴァーティゴ(2005年)
    • 最優秀ロックパフォーマンス・グループ部門 - サムタイムズ・ユー・キャント・メイク・イット・オン・ユア・オウン(2006年)
    • 最優秀ロックソング部門 - ヴァーティゴ(2005年)
    • 最優秀ロックソング部門 - シティ・オブ・ブラインディング・ライツ(2006年)
    • 最優秀短編ミュージックビデオ賞 - ヴァーティゴ(2005年)

    収録曲

    楽曲一覧

    全作曲: U2。
    # タイトル 作詞 作曲・編曲 プロデューサー 時間
    1. ヴァーティゴ ボノジ・エッジ U2 スティーヴ・リリーホワイト
    2. 「ミラクル・ドラッグ」 ボノ、ジ・エッジ U2 リリーホワイト、カール・グランヴィル、ジャックナイフ・リー
    3. サムタイムズ・ユー・キャント・メイク・イット・オン・ユア・オウン ボノ U2 クリス・トーマス、リリーホワイト、ネリー・フーパー
    4. 「ラヴ・アンド・ピース・オア・エルス」 ボノ、ジ・エッジ U2 ブライアン・イーノダニエル・ラノワ、トーマス、リー、フラッド
    5. シティ・オブ・ブラインディング・ライツ ボノ U2 フラッド、トーマス、リー
    6. オール・ビコーズ・オブ・ユー ボノ U2 リリーホワイト
    7. 「ア・マン・アンド・ア・ウーマン」 ボノ U2 リー、リリーホワイト、グランヴィル
    8. 「クラムズ・フロム・ユア・テーブル」 ボノ U2 リリーホワイト、リー
    9. ワン・ステップ・クローサー ボノ U2 トーマス、ラノワ、リー
    10. オリジナル・オブ・ザ・スピーシーズ ボノ U2 リリーホワイト、リー
    11. 「ヤハウェ」 ボノ、ジ・エッジ U2 トーマス
    合計時間:
    イギリス、アイルランド、日本のボーナストラック
    # タイトル 作詞 作曲・編曲 プロデューサー 時間
    12. 「ファスト・カーズ」 ボノ、エッジ   リリーホワイト
    合計時間:

    楽曲解説

    • ミラクル・ドラッグ - Miracle Drug
      U2のメンバーの母校マウントテンプル・スクールの同窓生で、詩人・作家であるクリストファー・ノーランについての曲。彼は脳性麻痺をもって生まれたが、母親の愛情と献身的な介護によって、特製のコンピューターとキーボードで文字を打てるようになり、文才を発揮して、詩集や小説を著し、アイルランド最高の文学賞であるウィットブレッド賞を受賞した。2009年、異物を喉に詰まらせて、43歳の若さで亡くなった。[2]
      「With or Without You」と同じコード進行。「All That You Can't Leave Behind」のアウトテイク「Levitate」の一部が使われている。ボノとエッジの他、ラリーもコーラスに加わった「Numb」と並ぶ三人ヴォーカルの曲(でもラリーの声は聞こえない)。
      2004年イグアナ(スペイン)年間ベストシングル第35位
    • ラヴ・アンド・ピース・オア・エルス - Love and Peace or Else
      「All That You Can't Leave Behind」のアウトテイク。
    • ア・マン・アンド・ア・ウーマン - A Man and a Woman
      エンジニアがミキシングをしていたら、ボノがそれを気に入り、ベースギターを手に取って歌い始めて生まれた曲。エッジが弾いているアコースティック・ギターは別の曲から持ってきて、繋ぎ合わせたものである。ボノのヴォーカルにはThin Lizzyフィル・ライノットの影響があるのだという。ボノは「夏のニューヨークでポーチに座っているようなサウンドだ。僕はThe Clashマービン・ゲイを一つに繋ぎ合わせてみたかったんだ」と評している。曲のテーマは女性に対する忠誠とロマンスの再発見。[2]ボノは野放図なセックスなど退屈な代物で、1人の女性を愛するほうがずっとセクシーだという考え方の持ち主である。
      ツアーでは1度も演奏されたことがないが、ビル・クリントンの慈善事業と65歳の誕生日を祝うコンサートで、ボノとエッジによってアコギで演奏されたことがある。
    • クラムズ・フロム・ユア・テーブル - Crums from Your Table
      フランスの別荘で、ボノとエッジが酔っ払った状態で書いた曲で、最貧国が先進国に「テーブルの上のパン(Crumbs from Your Table)」、つまり経済援助をしてもらうために、平身低頭の姿勢でいなければならないことに怒っている。[2]Vertigoツアーで7回演奏された。
    • ワン・ステップ・クローサー - One Step Closer
      「All That You Can't Leave Behind」のアウトテイクで、丁度、近くに来ていたラノワにペダルスチールに加わってもらって、ボノとエッジはギターという編成でセッションして作った曲。ボノが父親のボブのために作った曲で、One Step Closerとは、ボノが「(瀕死の)父親は神を信じていると思うかい?」とノエル・ギャラガーに尋ねると、彼は「(神というものを理解できるところへ)一歩近づいているじゃないか」と答えたことが由来。ライナーノーツにはノエル・ギャラガーへの感謝の念が記されている。ボノは「The Velvet Undergroundから始まって、カントリーソングのようになった」と述べているが、エッジはグラム・パーソンズのようだと述べている。[2]ライブで演奏されたことは1度もない。
    • ヤハウェ - Yahweh
      レコーディングの前からエッジが構想を温めていた曲で、最初のテイクでボノがヴォーカルパートを付け加えたことにより、ドラマティックに発展。メンバーによれば、「書いた」のではなく「書かれた」曲の一つだそうだ。クリス・トーマスが去った後、、ラノワとリリーホワイトがプロデュースを担当し、ラノワなどはマンドリンまで採り入れようとしたが、完成作はトーマスプロデュース時のものとほとんど変わらないのだという。[2]
    • ファスト・カーズ - Fast Cars (英国盤・日本盤ボーナストラック)

    評価

    イヤーオブ

    • 2004年ローリングストーン年間ベストアルバム第7位[5]
    • 2004年ローリングストーン読者が選ぶ年間ベストアルバム第1位[6]
    • 2004年アンカット年間ベストアルバム第35位[7]
    • 2004年スピン年間ベストアルバム第29位[8]
    • 2004年NME年間ベストアルバム50第18位[9]
    • 2004年Qマガジン年間ベストアルバム第4位[10]
    • 2004年Mojoの読者が選ぶ年間ベストアルバム第9位[11]
    • 2004年ワード年間ベストアルバム第9位[12]
    • 2004年Humo(フランス)年間ベストアルバム第6位[13]
    • 2004年イグアナ(スペイン)年間ベストアルバム第29位[14]
    • 2004年スヌーザー年間ベストアルバム第7位[15]
    • 2004年IFPI・2004年ベストセラーアルバム第4位
    • 2006年グラミー賞最優秀アルバム賞
    • 2006年グラミー賞最優秀ロック・アルバム賞
    • 2006年メテオラ・ミュージック・アワード最優秀アイリッシュアルバム

    オールタイム

    • 2006年BBCレディオ2が選ぶオールタイムベストアルバム第63位[16]
    • 2010年ローリングストーンが選ぶ00年代ベストアルバム100/ 68位[17]
    • 2010年Qマガジンが選ぶ21世紀のアーチスト&アルバム第33位[18]
    • 2011年Qマガジンが選ぶ人生のアルバム250第95位[19]

    脚注

    1. ^ U2『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』制作秘話:U2は自ら“核(atomic)の時代”を築く”. uDiscoverMusic | 洋楽についての音楽サイト. 2024年4月5日閲覧。
    2. ^ a b c d e f g U2 (著), 前 むつみ (監訳), 久保田 祐子 (翻訳)『U2 BY U2』シンコーミュージックエンタテイメント、2006年11月1日。
    3. ^ SNOOZER(スヌーザー) 2004年12月号
    4. ^ “Surrender to Peter Pan” (英語). The Guardian. (2004年12月6日). ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/music/2004/dec/06/popandrock.u2 2024年4月5日閲覧。 
    5. ^ Rocklist.net....Rolling Stone (USA) Lists Page 2...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    6. ^ Rocklist.net....Rolling Stone (USA) Lists Page 2...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    7. ^ Rocklist.net...Uncut Recordings Of The Year Lists  .....”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    8. ^ Spin Magazine End Of Year Lists”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    9. ^ Rocklist.net...NME End Of Year Lists 2004...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    10. ^ Rocklist.net...Q End Of Year Lists Lists  .....”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    11. ^ Rocklist.net...Mojo End Of year Lists...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    12. ^ Rocklist.net...The Word Lists...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    13. ^ Rocklist.net...Humo - Albums of the year..”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    14. ^ Rocklist.net....Iguana magazine Lists...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    15. ^ miz-to-abra. “SNOOZER年間ベストTOP10まとめ”. Tumblr. 2024年4月5日閲覧。
    16. ^ Rocklist.net...UK BBC Radio Lists...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    17. ^ Rocklist.net....Rolling Stone (USA) Lists Page 2...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    18. ^ Rocklist.net...Q Magazine Lists..”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。
    19. ^ Rocklist.net... Q - 1001 Best Ever Songs...”. www.rocklistmusic.co.uk. 2024年4月5日閲覧。

    関連項目




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