医療機関債
医療機関債
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/12 00:41 UTC 版)
医療機関債は医療法第39条に規定されている医療機関を開設する医療法人が発行することができる証拠証券である。厚生労働省医政局長名で通知された『「医療機関債」発行等のガイドラインについて』では金融商品取引法上の「有価証券」には該当せず、「民法上の消費貸借として行う金銭貸借の借入れに際し、借入れたことを証する目的で作成する証拠証券」と定義されている。 比較的小規模(数千万円~5億円程度)の資金を無担保・無保証で調達できる点で医療機関債が利用されている。その調達方法は、「医療法人」と「近隣金融機関」間で金融機関が全て買い受ける方式(総額貸付型)と、「医療法人」と「医療法人のある近隣住民」や「取引等のある近隣企業」など地域の人々が買う方式(地域オープン型)とがあり、いずれも銀行や福祉医療機構の通常貸出における金利以下で発行されている。 しかし、平成23年前後においては、一部の医療法人(または休眠状態の医療法人)の名義等を悪用し、地域オープン型を逸脱したレベル(全国の投資家)に向けて発行するなど、医療機関債の販売勧誘に伴うトラブル(後に、本件は詐欺事件となる)が発生していた。そのため、金融審議会(首相の諮問機関)・金融分科会第一部会で法制化の審議を進めている「投資サービス法案」において、医療機関債を含む金銭消費貸借契約に対する規制論議がなされていたこともあった。 なお、平成24年9月に消費者委員会から医療機関債に関する消費者問題について、 被害の拡大を未然に防ぐとの観点から「医療機関債に関する消費者問題についての提言」として、「医療機関債の発行実態等の把握」・「関係機関間の連携の推進」・「消費者保護の観点からのガイドラインの見直しの検討」が示されている。
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