創作手法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/29 08:39 UTC 版)
初三郎と同時代には彼の作品を模した鳥瞰図作家が多数いたが、初三郎作品には模倣作との決定的な違いがあった。それは彼が鳥瞰図製作の際に該当地の風土や歴史を事前に調査し、さらに現地に入って踏査写生および取材を行っていたことである。全国各地で現在有名になっている観光名所、景勝地には初三郎が踏査取材中に見いだし作品中で発表した所も少なくない。 九州でいえば、菊池渓谷(1931年・作品発表時は菊池水源地、初三郎は「絵に添えて一筆」の中でこの渓谷美を観光地化することを提唱)、久住高原(1924年・朝日長者伝説にちなみ近隣の飯田高原を「長者が原」と命名)など枚挙にいとまがない。 また戦後の代表作「HIROSHIMA」では、原爆投下後まもない広島市へ入り、5ヶ月におよぶ取材で被爆者300余名からの証言を得て、原爆八連図とよばれる作品に仕上げた。原爆投下の瞬間を描いた作品は、被爆者の証言のリアルさが全面に出たものである。関東大震災の鳥瞰図と合わせて、初三郎と彼の鳥瞰図のジャーナリズム性がわかる。
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