副腎腺腫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 17:30 UTC 版)
副腎腺腫は、副腎皮質における良性腫瘍の中でも非常に多くみられる腫瘍であり、病理解剖された患者のうち、1%から10%ほどに観察される。鑑別として「副腎結節」が挙げられるが厳密にはこれはいわゆる腫瘍(新生物)ではない。またACTH産生腫瘍による副腎過形成も腺腫とは別の病態である。副腎腺腫は、30歳未満の患者には稀である。発生頻度に性差はみられない。 この病変における臨床的特徴には2つの要素がある。第1に、副腎以外の疾患を精査中に偶然指摘される頻度が近年増加しつつある点である。多くの医療機関でCTやMRIが施行されるようになったことがその要因である。このため、この病変にがんが含まれるわずかな可能性を否定するべく、高額な追加検査や侵襲的な処置が必要以上に実施されかねない現状である。 第2に、副腎腺腫のおよそ15%が、いわゆる「機能性腫瘍」である。「機能性」とは腫瘍自体が糖質コルチコイドや鉱質コルチコイド、あるいは性ホルモンのうち、単一のホルモンを、あるいは数種類のホルモンを産生していることを意味する。これによりクッシング症候群や原発性アルドステロン症(コン症候群)をきたしたり、女性の男性化や、男性の女性化の原因となったりすることもある。機能性の副腎腺腫は外科的に治療可能である。 大半の副腎腺腫は、長径が2センチメートルを超えず、重さも50グラムを超えないとされる。ただし最近では副腎腺腫の良悪性を鑑別する上で、病変の大きさや重さはあまり信頼できる要素とはみなされなくなっている。副腎腺腫の肉眼的特徴は、被包化されており境界明瞭で、単発の充実性腫瘍であり、断面は均一な黄色調である。壊死や出血性変化は稀な所見である。
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