(1) 制限・例外規定の拡充
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 14:17 UTC 版)
「デジタル単一市場における著作権に関する指令」の記事における「(1) 制限・例外規定の拡充」の解説
「en: Limitations and exceptions to copyright」および「著作権法 (欧州連合)#制限」も参照 目的1点目の「制限・例外規定」とは、著作権者の独占的な権利を一部緩和し、第三者による著作物の自由な利用を認めるものである。具体的には以下の3用途が著作権侵害に当たらない行為として、DSM著作権指令上で明文化された。 テキストおよびデータマイニング (TDM) 教育目的のデジタル利用 文化保存 2001年の情報社会指令では第2章 第5条で21の制限・例外ケースを規定しており、EU加盟国が国内著作権法で21の制限・例外ケース以外を追加してはならないとしている。この21ケースをベースに、2019年のDSM著作権指令によって新たに上述の3ケースが追加されたことになる。 DSM著作権指令におけるTDMとは「パターン分析、トレンド把握や相関分析などを行うためにテキスト文書やデータを自動解析する手法」であると定義されている (第2条)。科学研究機関や文化遺産機関が第三者の著作物を使ってTDMを行う際、著作権者の排他的な権利は及ばず、著作物のデータ保存におけるセキュリティ対策を講じている限りにおいて、著作権侵害に当たらないと定められた (第3条)。また科学研究目的以外でも、検索エンジンなどクローラによるオンライン公開データの取得・分析は、著作権侵害に当たらない (第4条)。 教育目的の著作物利用に関しては、出典と著作者名 (判明している場合) を表示する必要がある。ここでの教育目的であるが、教育機関の監督責任の下、あるいは教育施設内での利用であり、かつ利用者が学生や教職員に限定されている場合である。つまり、教材販売や楽譜といった、一般的に市場で販売される用途は含まない。なお、教育目的であっても著作権者に公正なライセンス料を支払うべきかについては、EU加盟各国で別途定めることができる (第5条)。 文化遺産機関による著作物の複製についても、その保全・記録媒体を問わず合法と定められた (第6条)。
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