利息制限法に関する判断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:42 UTC 版)
「グレーゾーン金利」の記事における「利息制限法に関する判断」の解説
制限超過利息を任意に支払った場合、債務者が利息に充当することを指定して支払ったとしても、元本に充当されるものとなる(最高裁判所昭和39年11月18日大法廷判決・民集18巻9号1868頁昭和37年6月13日最高裁判決判例変更)。 制限超過利息を元本に充当した結果、元本が完済となったとき、その後に債務の存在を知らずに支払った金額は、返還を請求できる(最高裁判所昭和43年11月13日大法廷判決・民集22巻12号2526頁)。 制限超過利息と元本を共に支払った場合、特段の意思表示がない限り、元利合計を超える支払額は、不当利得として返還を請求できる(最高裁判所昭和44年11月25日判決・民集23巻11号2137頁)。 しかし、質屋営業における金利については、利息制限法第1条第1項の「金銭を目的とする消費貸借の利息の契約」に該当する(後記の長崎地裁、広島地裁判決参照)が、貸金業(利息制限法による10万円未満の年利20.0%)とは異なり平年年利109.5%・閏年年利109.8%(1日当たり0.3%)、暦月9%(厳密には1日当たり0.3%(年利109.5%、109.8%は1日当たり0.3%の年換算に過ぎない)で月の初日から末日までの期間を全ての月で30日とする内容で1期として利息を計算する。したがって、暦月9%となるために、契約日、返済日により日割換算の実質年利が異なるため日割換算で実質年利108%程度以上の高利となる)までとされており、基本的に短期・小額金融であることや質草の鑑定、保管の手数、盗犯防止、盗犯品捜査協力等の費用を加味した高い上限金利が規定されている(質屋営業法第36条)。よって、利息制限法は適用されないとする裁判例が存在する(長崎地裁平成21年4月14日判決判例集未掲載等参照)。ただし、質屋営業にも利息制限法が適用され、超過利息については、返還すべきとの裁判例(大阪地裁平成15年11月27日判決兵庫県弁護士会HP、名古屋地裁半田支部平成23年8月11日判決名古屋消費者信用問題研究会HP参照)も存在する。さらに、質屋営業法第36条は利息制限法の特則であるとする裁判例も存在する(広島地裁平成23年2月25日判決判例集未掲載参照)。このように、質屋営業においては、利息制限法の適用等について下級審の判断が割れており、見解統一の最高裁判例も存在しない。
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