初期プロットからの変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/02 21:25 UTC 版)
「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」の記事における「初期プロットからの変更」の解説
元々『S.A.C.』におけるサリンジャーに当たるものとして、セカンドシーズンである『2nd GIG』では三島由紀夫が考えられていた。神山は『S.A.C.』で「赤報隊」の問題にやり残した感があったと考え、『2nd GIG』で日本における右翼や在日というテーマを扱おうとした。そのために「個別の11人」という素材を採用し、三島由紀夫がその中核に据えられていた。三島由紀夫の『近代能楽集』は9編で構成されているが、神山はこれに「ロングアフターラブ」を足した10編とするという逸話を聞き、さらに幻の1編が存在し、それが「個別の11人」だったという設定を考えていた。しかし、事前の聞き取りでは、三島の作品をこのような形で使うことは許可を取るのが不可能であるという意見が多く、また右翼団体が会社に来る可能性まで勘案し、そこまでのリスクは負えないと判断し、プロットの段階でこのアイデアは断念された。 三島は1960年代のフランスの思想家シルベストル(架空の人物)に、『近代能楽集』の幻の1編であった「個別の11人」は、シルベストルによる「初期革命評論集」の幻の1編に変更された。神山はこの変更に対し、現実に存在する危ないネタをスポイルしながら始めてしまったため、自分の中で少しずつリアリティが失われていったと述べている。神山のスタイルは、皮膚感覚を作品に投影していくというものであるが、三島であれば皮膚感覚的にひりひり来ていたのが、架空の思想家シルベストルに変更することでぼんやりしてしまったため、その時点で全体の方針を再考すべきだったかもしれないと振り返っている。思想家の東浩紀はこれに対し、シルベストルに変更したことで、含意が大幅に薄くなり、リアルさが失われたと指摘している。
※この「初期プロットからの変更」の解説は、「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」の解説の一部です。
「初期プロットからの変更」を含む「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」の記事については、「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」の概要を参照ください。
- 初期プロットからの変更のページへのリンク