初期ムスリムの経済思想
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「イスラム経済」の記事における「初期ムスリムの経済思想」の解説
初期のムスリムは、クルアーンやムハンマドの言行録であるスンナに基づき、ある程度の経済分析を行った。中でも現代経済学の父と称されるイブン・ハルドゥーン(1332年 - 1406年)が有名だが、彼は自著『歴史序説(Kitab al-Ibar)』にて独自の経済・政治理論を展開した。同書では文明の栄枯盛衰の要因としてアサビーヤ(asabiyya、社会的結束力、集団内の連帯意識の意)を挙げており、多くの社会勢力は型を打ち破る急激な変化があるものの、それ自体は循環的であると見た。また、アサビーヤに関連して分業の利益についても見解を示し、アサビーヤが強まるほど分業が多岐にわたり、経済成長が達成されると考えた。経済発展は需要と供給を共に刺激し、両者は何れも物価によって決まるとした。この他、人口増加や人的資源の経済発展に対する影響に関して、ミクロ経済学的な考察を加えたことでも知られる。実際のところ、人口増加は富の直接的な関数であるとハルドゥーンは考えていた。 イブン・ハルドゥーン以外に初期イスラム社会で経済を論じたムスリム学者としては、シャイバーニー『所得の書』、ジャーヒズ『商業に関する考察』『商人賛美と官吏非難』、ディマシュキー『商業の功徳』、マクリーズィー『惨禍を取り除くことによるエジプト社会救済の書』などがある。このほか初期イスラム社会の重要なムスリム学者としては、アブ・ハニファやアブ・ユスフ (731年 - 798年)、イブン・スィーナー(アヴィケンナ、980年 - 1037年)、アル・ガザーリー (1058年 - 1111年)、アル・マワーディ (1075年 - 1158年)らがいる。
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