分類学上の扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 10:12 UTC 版)
現在一般に使われる二名法(二語名法、二名式命名法)においては、生物種の学名は2つの部分からなっている。属名と種小名である。たとえば、ヒトの学名 Homo sapiens (ホモ・サピエンス)は、ヒトが Homo 属の一種であることを表している。属名のイニシャルは必ず大文字で表される。すなわち、ある生物を新種と認め、それを記録する、つまり新種記載するためには、その生物の所属する属を確定しなければならない。現在の分類学は、基本的には種を扱う単位としているが、実際の扱いにおいては、むしろ属がその単位である。 動物の場合、上科から亜族までの階級は必ずそこに含まれるどれか1つの属を基準とし、その属名に由来する名前をつけるが、この基準となる属のことをタイプ属と呼ぶ。植物でも属の名前を使って階級名をつけた場合には、慣用的に同じ語を用いることがある。 動物と植物の間では属名(や属以外の階級名)が重複することが起こりうる。これは国際動物命名規約と国際藻類・菌類・植物命名規約の両方で非推奨とされているのだが、しかし両方で使われている名前は数千を超える。たとえば、Anura はキク科の植物の属名と、カエル目の階級名として使われている。Aotus は "golden peas"(マメ科)とヨザルの属名として、Oenanthe はセリとサバクヒタキの属名として、Prunella はイワヒバリとウツボグサの属名として使われている。 動物学や植物学の内部で属名が重複することは許されない。このため、例えばカモノハシ (platypus) の属名は Ornithorhynchusとされている。1799年、ジョージ・ショウ(英語版) によって Platypus の属名が選ばれたが、その名は1793年にすでにヨハン・フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ヘルプスト(英語版)によって養菌性キクイムシの属名として使われていた。どちらも動物と考えられるので両方には使えない。1800年、ヨハン・フリードリッヒ・ブルーメンバッハによってカモノハシの属名が Ornithorhynchus に差し替えられた。
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