分類と復元史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 07:58 UTC 版)
Whittington 1981 の見解に基づいた旧復元 Haug et al. 2011 の見解に基づいた新復元 サロトロセルクスの化石標本は、最初では同じくバージェス頁岩に分布する節足動物であるモラリアの種(Molaria spinifera)に由来すると誤解釈されていた。これは Whittington 1981 で区別がなされ、新属新種 Sarotrocercus oblita として命名された(種小名「oblita」は、後に Haug et al. 2011 で「oblitus」へと改訂された)。 しかし、Whittington 1981 でのサロトロセルクスの形態の記載と復元は、簡略で暫定的なものである。この頃のサロトロセルクスの頭部は、8節に分かれた先頭の付属肢と、胴部のものに同型の付属肢をそれぞれ1対をもつとされ、胴部は9節のみ含まれ(尾節直前の短縮した節は胴節扱いされない)、各胴節の付属肢は付け根が横に幅広い櫛状構造と解釈された。これによると、サロトロセルクスの頭部に含まれる体節数は3節(先節+付属肢のある2節)で一般の節足動物(5節以上)より少なく、胴部付属肢の形も節足動物として異様である。なお、この解釈は暫定的であるにも関わらず、2000年代にかけて、節足動物の頭部や付属肢の起源と進化に関する議論で、サロトロセルクスは幾つかの文献にそれを示唆する原始的な種類として列挙された。 Whittington 1981 から30年後、サロトロセルクスは Haug et al. 2011 で再記載され、Whittington 1981 の復元における幾つかの特徴は、次の通りに更新がなされていた: 8節に分かれた1対の頭部付属肢 → 内肢が4節に分れた2対の頭部付属肢の見間違い 胴部のものに同型の2対目の頭部付属肢 → 頭部に覆われる第1胴節の付属肢の見間違い 胴部付属肢は付け根が横に幅広い櫛状構造 → 胴節の下に折りたたんだ鰭状の外肢とその刺毛の見間違い 胴部は9節 → 胴部は10-11節(第1胴節は頭部に覆われ、尾節直前の「短縮した節」は最終胴節であり、「9節」はそれ以外の目立った第2-10胴節の見間違い) その他にも、眼柄の直後に1枚のハイポストーマがある・頭部付属肢は短い外肢がある・胴節数は成長段階によって異なるなど、今まで記載されなかった特徴を幾つか判明し、その生態に対して新しい解釈も与えられた(上述参照)。これによると、サロトロセルクスは Whittington 1981 の復元より節足動物として典型的であり(頭部に含まれる体節数は少なくとも4節で一般的な節足動物に近い、胴部付属肢は節足動物において一般的な外肢をもつ)、類縁関係ははっきりしないが、少なくとも2000年代の文献記載に考えられるほど原始的な種類ではない。 サロトロセルクス(サロトロセルクス属 Sarotrocercus)は模式種(タイプ種)である Sarotrocercus oblitus のみ含め、所属する綱・目・科などの上位分類群は未定。
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