分解者の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 18:28 UTC 版)
分解者は、生態系の物質循環を考える場合に、生産者、消費者と対置される概念である。生産者は、光合成によって太陽エネルギーを用いて炭酸同化し、生態系のエネルギーを生産する独立栄養生物である。消費者と分解者は従属栄養であり、生産者が固定したエネルギー(有機物)を消費することで生活する。一般に、消費者は生きた植物組織を起点とした食物網(生食食物網)に属するのに対し、分解者は枯死植物遺体を起点とする食物網(腐植食物網)に属する。あるいは、生食連鎖系に属している動物遺体を起点とする食物網に属する。 実際には、生食食物網の生物遺体を分解者が利用したり、分解者群集に属する生物(トビムシ・トビムシ食のクモ・ミミズ・ミミズ食のオサムシ等)を生食連鎖系の生物(例えば鳥)が捕食する、あるいは幼虫期を腐植食物網で過ごし、成虫期を地上で暮らす双翅目昆虫など、生食、腐食食物網の間に複雑なリンクがあり(腐植流入)、厳密な意味で消費者、分解者を定義するのが難しい場合がある。 理科の教科書の説明には、“分解者は有機物を無機物に分解する”とある。しかし、これはすべての従属栄養生物が行っている。 もう一つの説明では、分解者は“分解困難な物質を分解する”というものである。実際、植物遺体などは主成分がセルロース、リグニンであり、これらを消化分解できる酵素を持つ動物は少なく、草食動物の多くは充分に分解し切れずに糞として排出するか、腸内の共生微生物に分解させるなどしている。主として菌類と細菌がこれを分解する。
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