出生を巡る俗説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:16 UTC 版)
「ルイ14世 (フランス王)」の記事における「出生を巡る俗説」の解説
ルイ14世の出生には醜聞が付きまとった。実父については父王の宰相リシュリューとする説やアンヌ・ドートリッシュの摂政時代に宰相を務めたマザランであったとする説がある。こうした俗説が出回る背景には、ルイ13世とアンヌ・ドートリッシュの仲が長い間冷え切っていたという事情がある。アンヌ・ドートリッシュは美女として名高く、例えばイングランドのバッキンガム公爵ジョージ・ヴィリアーズが公然と言い寄ったこともあるほどだが、ルイ13世とは反りが合わなかった。ルイ13世は同性愛傾向が強かったともされている。ところがある日、狩りのため遠出したルイ13世は妻アンヌの城館の付近で悪天候に見舞われ、やむなくアンヌの城館に一夜の宿を請うたところ、その夜のことで生れたのがルイ14世であったとされる。 リシュリュー実父説は1692年にドイツのケルンで出版された『アンヌ・ドートリッシュの情事』と題された小説が出典であり、ヴォルテールの『ルイ十四世の世紀』で言及されたことでお墨付きが与えられてしまった。また、アンヌ・ドートリッシュとマザランが愛人関係にあったとする説も根強いが、少なくともアンヌがルイ14世を妊娠した1637年12月は、まだマザランがイタリアにいた時期であり、このマザランが父親という話の方も単なる噂話である。 またルイ14世の治世に実在した謎の囚人(いわゆる「鉄仮面」)の正体をルイ14世の兄弟とする説はドラ=キュビエールという無名に近い作家の史話が初出であり、後にこの話をアレクサンドル・デュマがダルタニャン物語 の第3部『ブラジュロンヌ子爵』の題材とした。アメリカ映画『仮面の男』(1998年、主演レオナルド・ディカプリオ)はこの小説を原作にしている。
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