再生の調整
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:22 UTC 版)
再生回路での再生の調整には大きく分けて2通りの手法がある。 正帰還の量を調整する。 増幅回路の利得を調整する。 正帰還の量を調整する方法の代表的なものは、再生コイルと直列に接続したバリアブルコンデンサ(throttle-capacitor)の容量を変えることで正帰還の量の調整を行う方法で、1950年頃までの国内のラジオ受信機でよく使われた。この方式は再生の調整が比較的スムーズで、電源電圧も安定化しやすく、動作を安定させやすい特徴がある。バリアブルコンデンサの静電容量が小さい時は帰還の量が少なく、容量を増やすに従い帰還の量が多くなり、最後には発振状態になる。コンデンサの容量の変化により共振回路の共振周波数も影響を受け、高い周波数では周波数がずれやすくなる問題点もある。この方法以外に、結合度が可変のコイルであるバリオメータ(バリオカップラ)を再生コイルに用い結合度の調整を直接行う方法がある。これは1920年代頃の再生受信機で使われた。再生コイルと直列に可変抵抗を接続して調整する方法もある。 増幅回路の利得を調整する方法の代表的なものは、再生回路内の真空管やFETなどの増幅素子に加える電圧を可変抵抗器で変えるものである。三極管やFETではプレート電圧やソース電圧を、五極管ではスクリーングリッド電圧を変えることで増幅度を変化させる。電圧の上昇に従い増幅度も上がるので再生の調整ができる。五極管がよく使われた時代、スクリーングリッド電圧による再生の調整は一般的な方法で プレート電圧を変える方法より安定度も高く、再生回路にハートレー発振回路のような帰還比を変えられない回路を使う場合に用いられた。 また、1920年代頃の再生受信機では真空管のヒーター電圧を変えることで利得を変化させ再生を調節する方法も使われた。当時の真空管は特性のばらつきが激しく、さらにヒーター用に使う電池の電圧も低下していくため、適切なヒーター電圧に調節できるよう真空管のヒーター回路にレオスタット(2端子の可変抵抗器)を接続するのが一般的だった。このレオスタットを利用して再生のかかり具合の調整を行った。ヒーター電圧やプレート電圧を変化させる方法は調整の特性にヒステリシスがあり再生の調整が難しくなることがある。
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