円錐を使った説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 16:19 UTC 版)
「フーコーの振り子」の記事における「円錐を使った説明」の解説
フーコーの正弦則で示したように、フーコーの振り子の振動面の回転は緯度依存性がある。このため、極点上および赤道上以外の場所における振動面の回転については、もう一歩踏み込んだ解説が必要となる。この解説の一つとして「フーコーの正弦則」の説明に円錐を使った方法も用いられることがある。 地球上の実験地点の緯度 θ {\displaystyle \theta } と同一緯度の線に沿って接し、地球の自転軸と共通の軸を持つ円錐を考える。円錐を展開すると側面は扇形となり、扇形の中心角 α {\displaystyle \alpha } は扇形の弧の長さと扇形の半径の比に等しい。扇形の弧の長さは円錐底面の円周と等しい。また円錐の軸と円錐の母線(扇形の半径)のなす角は緯度 θ {\displaystyle \theta } に等しく、さらに円錐底面の円の半径と扇形の半径の比は sin θ {\displaystyle \sin \theta } と等しい。従って、扇形の中心角 α {\displaystyle \alpha } との関係は以下の式となる。 α = 2 π sin θ = 360 ∘ sin θ {\displaystyle \alpha =2\pi \sin \theta =360^{\circ }\sin \theta } ここで緯度 θ {\displaystyle \theta } でのフーコー振り子の振動面を円錐を使って考える。振り子の振動面は、円錐の底面と側面の境界線を移動しながら、境界線と直交し常に頂点方向に振幅していると考えることができる。従って、地球が一回転したときの、緯度 θ {\displaystyle \theta } での振り子の振動面の回転量は、円錐側面の扇形の中心角 2 π sin θ {\displaystyle 2\pi \sin \theta } と等しくなる。これより振り子の振動面が一周するのに必要な時間 T r o t {\displaystyle T_{rot}} は、以下のようになる。 T r o t = 24 × 1 α ÷ 360 ∘ = 24 sin θ {\displaystyle T_{rot}=24\times {\frac {1}{\alpha \div 360^{\circ }}}={\frac {24}{\sin \theta }}} ⋯ {\displaystyle \qquad \cdots \ } (3-1) つまり、振り子の観察者は円錐の上に立って地球の自転による移動をしていることと同等である。円錐の扇形の部分を平面展開した場合、振り子の振動面はすべて同じ方向となる。すなわちこれは、赤道における振り子の振動面の変化(変化なし)である。 円錐によるフーコーの振り子の理解のためには、実際に円錐を作って試してみると理解が進む。厚紙を使って円錐をつくっても良いが、透明なプラスチックシートと地球儀を使うことも有効である。 前述のようにターンテーブルによってフーコーの振り子を模擬する方法があるが、さらに改良して中緯度でのフーコーの振り子を模擬する方法も提案されている。地球儀にアクリルの円板を任意の中緯度に接するように取り付ける。さらに、円板の中央に振り子を支持するための治具を取り付ける。振り子を振動させて、地球儀を一周させると、アクリル円板はフーコーの正弦則とほぼ等しい回転を行う。
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