共変理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 01:19 UTC 版)
ハロルド・ケリーの共変理論によれば、人は科学者のように合理的で論理的な仕方で原因帰属を行う。行動の原因は、その行動と最も密接に連動して変動する要因であると考える。 ANOVAモデル、分散分析モデルともいう。共変モデルでは、人は3種類の情報をもとに妥当な原因帰属を行おうとする。第一は、合意性情報(コンセンサス情報)である。これは、ある人の行動が、同じ状況で同じ刺激を与えられた場合の他の人々の行動とどのくらい一致しているかに関する情報である。例えば、ある人が毎日花壇に水をやったとする。他の誰もが同じようにその花壇に水をやるとすれば、この行動はその人自身から出たもの(内的原因によるもの)ではなさそうである。反対に、他の誰も水をやらないのにその人だけが水をやっているのだとすれば、この水やり行動の原因はその人自身の中にありそう(内的原因でありそうである)。原因帰属の手がかりとなる第二の情報は、弁別性情報である。これは,問題となっている行動が特定の刺激と弁別的に結びついているかに関する情報である。例えば,先ほどの例で挙げた人がどの花壇にも同じように水をやるのだとすれば、花壇はこの行動の原因ではなさそうである。逆に,この人がある特定の花壇だけに水をやって、他の花壇にはいっさい水をやらないのだとすれば、この行動の原因は人ではなく(内的原因ではなく)花壇の方にありそうである(外的原因)。第三の情報は、一貫性情報である。これは、その行動が特定の時間や状態にかかわらず一貫している程度に関する情報である。例えば,水やりが他の人が見ているときにだけ行われるのであれば、この行動の原因はその人の水をやりたいという気持ちなどの内的原因にはなさそうである。そうではなく、誰も見ていなくてもいつもやるのだとすれば、この行動の原因は水をやることそのものを求める、内的原因によっていそうである。このようにして、3種類の情報のそれぞれから、ある個人の特定の行動が内的なものであるか、外的なものであるかを判断する手がかりが得られる。それぞれの情報は帰属の方向性に関して互いに矛盾することもあるが、これらを組み合わせることで、行動の原因が外的なものであるか内的なものであるかについて総合的に判断がなされる。
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