公人の肖像権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 17:25 UTC 版)
報道写真のように公共目的の場合、あるいは政治家や公務中の公務員、芸能人やスポーツ選手のような公人に関する場合であっても、肖像権は存在し得るが、撮影の目的や場所、様態、必要性などを総合的に勘案して、それが肖像権を侵害しても良いとされる限度であるかどうかを判断した上で撮影を行えば、一般に違法性はないと考えられる。 公人は、元々自己の氏名や肖像が大衆の前に公開されることを包括的に許諾したものであって、上記の様な人格的利益の保護は、大幅に制限されると解し得る余地がある。よって、俳優等が自己の氏名や肖像の権限なき使用により、精神的苦痛を被ったことを理由として損害賠償を求め得るのは、その使用方法、態様、目的等からみて、彼の俳優等としての評価、名声、印象等を毀損若しくは低下させるような場合、その他特段の事情が存する場合(例えば、自己の氏名や肖像を、商品宣伝に利用させないことを信念としているような場合)に限定されるものというべきである。 その一方で、俳優等の氏名や肖像を商品等の宣伝に利用することにより、俳優等の社会的評価、名声、印象等が、その商品の宣伝、販売促進に望ましい効果を収め得る場合があるのであって、これを俳優等の側からみれば、俳優等は、自らかち得た名声の故に、自己の氏名や肖像を対価を得て第三者に専属的に利用させうる利益を有しているのである。ここでは、氏名や肖像が人格的利益とは異質の、独立した経済的利益を有することになり(上記利益は、当然に不法行為から法によって保護されるべき利益である。)、俳優等は、その氏名や肖像の権限なき使用によって精神的苦痛を被らない場合でも、経済的利益の侵害を理由として、法的救済を受けられる場合が多いといわなければならない。
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