偸盗戒と邪淫戒とは? わかりやすく解説

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偸盗戒と邪淫戒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/02 15:25 UTC 版)

富士詣り」の記事における「偸盗戒と邪淫戒」の解説

ところが、昔から山の天気変わりやすいと言われるとおり、澄み切った空に急に出始めた。 「先達つぁん、何か急に出てきちまいましたが」 「ああ、こりゃあ御幕が下りたんだ」 「聞いたかい、『幕が下りた』って。この幕はいつ開きますかね」 「違うよ。降りることを我々のほうでは『御幕が下りる』というんだ」 「でどうなるんです? 一雨来るんですか?」 「一雨どころの騒ぎではない。山は荒れるな」 先達さん曰く確かに今は精進潔斎して山へ登っているけれども、その前に多かれ少なかれ悪い事をしている。そういう者が講中混じっていると富士山懲らしめのために荒れるのだと。さらに、特に五戒破った者がいた場合天狗八つ裂きにされるという。「嘘でしょう」と疑う者に、どう考えて天狗仕業としか思えないような死体見たことがあるという先達。 それを聞いた一人ガタガタ震えだす。先達不審思って聞いてみると、その男偸盗戒破ったらしい。懺悔をすれば助かるといわれ、男は慌てて話し始める。 ある日町内銭湯行きさっぱりして帰ろうとして自分下駄を履こうとした自分下駄が一番汚くてなおかつぺちゃんこなのに気がついた。で、側を見ると柾の通ったいい下駄がある。目は「いい下駄があるな」としか思っていなかったのに足のほうが言うことを聞かず、ぽ~んと飛び乗ってそのまま帰って来てしまったそうである。 「こんな調子じゃ他にも」と先達思っていると、もう一人出てきた。聞いてみると、先達五戒のなかで最も破ってならない説明した邪淫戒破ったというのである。熊というその男近所のある人の家へ遊びにいったら偶然その人留守で、その人おかみさん洗濯をしているところにくわしたらしいのであるおかみさんが、「慣れない洗濯姿なんか見て笑わない頂戴」というので、「だったらあっしがやりますよ」と熊さんが代わって洗濯をし、糠味噌をかき回し、臭いが同じだから便所まで掃除忙しく立ち回る。 「お礼に何かご馳走しますけど何がいい?」というおかみさんに、蒸かし芋だの焼き芋だのとから縁の離れない熊さん。 「じゃ、しばらくこれでも食べてたら?」と欠餅かきもち)を出してくれた。 すると、欠餅のそばにおかみさんの膝が見えるので思わずつねってしまった。「熊さん冗談するにも程がある」とおかみさん熊さんの膝をつねり返す。 「冗談じゃつねりません」 「冗談じゃございません」 そのうち浮かれ出して踊り始めてしまう。先達さん「とんでもねえ野郎だ。近所かみさんってえが、一体誰のかみさんだ?」 「すまねえ、先達つぁんのかみさんだ」 「この野郎!」

※この「偸盗戒と邪淫戒」の解説は、「富士詣り」の解説の一部です。
「偸盗戒と邪淫戒」を含む「富士詣り」の記事については、「富士詣り」の概要を参照ください。

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