借地者の投票権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/16 20:23 UTC 版)
1832年改革法で廃止された懐中選挙区の大半がトーリー党員を選出していた選挙区だったが、年50ポンド以上の地代を支払っている任意借地農業者(英語版)(tenants-at-will)に選挙権が与えられたことで結果的にはトーリー党の損失が補填された。この条項はトーリー党のシャンドス侯爵リチャード・テンプル=ニュージェント=ブリッジス=シャンドス=グレンヴィルにより庶民院で提出され、政府の反対にもかかわらず可決された修正によるものであり、借地者は一般的に地主の指示に従って投票したため、トーリー党支持が主流である地主層の票を増やす結果となった。この譲歩に加えて不景気やホイッグ党の内部分裂などもあり、サー・ロバート・ピール率いる保守党が1835年と1837年の総選挙で党勢を回復し、1841年イギリス総選挙で与党に返り咲くこととなった。 現代の歴史学者による庶民院の採決記録の研究では、1832年改革法は地主層の利益に損害をほとんど与えなかったという結果だった。この研究によると、地主層は地方の利益のみを考えた立法はしにくくなったものの、引き続き庶民院を主導したという。一方、1867年の第2次選挙法改正(英語版)により地主層の立法に対する権力は大打撃を受け、1874年イギリス総選挙ではカウンティ選挙区の議席がイングランドとアイルランドの借地農業者の推す候補に奪われたという。
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