借家権の価格
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 12:02 UTC 版)
建物賃借権は、賃貸人の承諾がなければ譲渡、転貸が認められないため、借家権が交換市場において市場価格を形成する状況は基本的に見られない。店舗物件で予め賃貸人の同意を得て借家権取引を行う例も見られるが、営業権(のれん)との区別は判然としないという。したがって借家権の経済価値は、借地借家法等の法令等によって保護されている借家人の社会的、経済的ないしは法的利益により形成されている、と言える。取引の対象となる状況というのは、決して一般的ではないが、a. 建物の建て替え等により借家人が不随意の立ち退きを強いられ、経済的利益を喪失する場合、b. 公共用地の取得に伴う補償、c. 再開発に伴い施設建築物の一部の借家権を取得しないことの補償金を受ける場合、等が挙げられる。これら補償等の対象には、代替建物への入居に必要な経費等が挙げられ、立退料に近い性質を有することとなる。 なお、不動産鑑定評価基準各論第1章は、「貸家及びその敷地」の評価において、賃貸借が定期建物賃貸借であるか否かということは、当該土地建物の価格評価に際して勘案すべきとしている。また、不動産鑑定評価基準は、各論第1章賃料(家賃)が適正水準から乖離している(低位の)場合に、借家人の存在に伴う減価として、借家権価格の発生が認められる場合があるとしている。
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