修羅の出土
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 23:23 UTC 版)
1978年春、八島塚古墳と中山塚古墳の間の周濠底から大小2つの修羅と呼ばれる木製のソリが出土した。これらは、アカガシ属に属する自然木の、二股に枝分かれする部分を用材としている。大形のものは、全長8.8メートル、頭部先端を尖り気味に上方にそらせ、先端から1メートルのところに幅23センチ、高さ17センチの引き綱を通す「えつり穴」を穿ち、約2.2メートルのところから上部を平坦に加工し、荷にのせる部分を形成している。2本の足の側縁には各6ヶ所に斜め穴をあけ、荷綱を通したり、引き綱をとめる施設としている。小形の修羅は大形の修羅の南端に一部かさなる状態で出土している。全長2.9メートルを測り、先端から25センチのところに主綱を通す横穴をあけ、上面が平坦面を成すのは大形のものと同様である。また、これらの修羅を動かすのに用いられたと思われる梃子棒(テコぼう)も出土している。修羅の使用目的については付近の古墳の石棺や石室の大形石材の運搬に使用されたものと推定される。時期については、共判遺物が知られていないので断定できないが、周濠埋土が6世紀のものであることから、修羅も同時期と考えられるが、他の類例から7世紀頃とする見解がある。 その後、出土した大小2つの修羅と梃子棒は15年かけて、保存処理がなされた。現在、大形の修羅と梃子棒は大阪府立近つ飛鳥博物館に保管展示されており、小形の修羅の方は藤井寺市立図書館に保管展示されている。2006年6月に大小の修羅と梃子棒は国の重要文化財に指定されている。
※この「修羅の出土」の解説は、「三ツ塚古墳」の解説の一部です。
「修羅の出土」を含む「三ツ塚古墳」の記事については、「三ツ塚古墳」の概要を参照ください。
- 修羅の出土のページへのリンク