保険給付を受ける者の保護
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 04:27 UTC 版)
「労働者災害補償保険」の記事における「保険給付を受ける者の保護」の解説
保険給付を受ける権利は、実際に労働災害が起こった会社を退職しても消滅することはない。また譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえをすることもできない(第12条の5)。ただし、年金たる保険給付を独立行政法人福祉医療機構が行う小口貸付の担保に供する場合は例外である。なお休業(補償)給付については受任者払いが認められていて、労働者が事業主等にその受領を委任しているときは、原則として当該事業主等に支払われる。 保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に未支給の保険給付(請求自体がなされていないものを含む)があるときは、死亡当時その者と生計を同じくしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹。公的年金とは異なり「3親等以内の親族」は含まない。また「生計維持」までは求められていない)は、自己の名でその未支給の保険給付の支給を請求することができる(第11条1項、2項)。未支給の保険給付の請求権者がいない場合、死亡した受給権者の相続人が請求権者となり、未支給の保険給付の請求権者がその支給前に死亡した場合、その死亡した請求権者の相続人がその支給を受けることができる(昭和41年1月31日基発73号)。なお遺族(補償)年金については転給があるため、受給権者の遺族ではなく死亡した労働者の遺族が未支給の保険給付を受給することになる。未支給の保険給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす(第11項4項)。 さらに租税その他の公課は、労災給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない(第12条の6)。労災保険に関する書類に印紙税は課されない(第44条)。 なお特別支給金については保険給付とは異なるため、譲渡等の対象となる(退職後の権利や公課の禁止は運用上保障されている)。
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