保険市場における逆選抜
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/01 18:40 UTC 版)
逆選抜は元々保険市場で使われる用語であり、保険加入者が幅広い層に行き渡らずに特定の層(多くの場合、保険金支払いの確率が高い層)に偏ってしまう現象を指す。 医療保険を例にとると、保険会社から見て、保険を購入する一人ひとりに対する保険金支払いの確率は異なる。健康や安全を心がける人に対しては保険金支払いの確率は低く、そうでない人に対する保険金支払いの確率は高い。もし保険会社が各個人に対する保険金支払いの確率を知っていれば、保険金支払いの期待値に応じて保険料を決めれば良い。問題なのは、健康に対する意識などは保険会社が知り得ない情報であるため、個々人に対する保険金支払いの期待値に応じて保険料を設定できないことである。 極端な例として、保険会社が保険を購入する人々の情報を全く知らないとしよう。このような場合、保険会社にできることは、保険の潜在的な購入者のプールにおける平均的な保険金支払いの確率に基づいて保険料を定めることである。もし潜在的な購入者のプールにおける保険金支払いの確率が0から1に一様に分布している場合、平均的な保険金支払いの確率は0.5である。この場合、保険金を受け取る確率が0.5より低い人々は、よほどリスク回避的でない限り、この保険を購入するインセンティブを持たない。結果として、保険を購入する人々は、相対的に保険金を受け取る確率の高い人になる。 実際には保険会社は、契約者に医師の診断書を求めたり、喫煙歴などの生活習慣などの情報を求めたりし、あるいは保険契約の広告方法又は募集方法それ自体(団体生命保険契約など)を工夫するなどして対応している。
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