保釈の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 09:34 UTC 版)
権利保釈(請求保釈、必要的保釈ともいう。刑事訴訟法89条に規定。)保釈請求権者(勾留されている被告人、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹)から請求があった場合は、裁判所は保釈を許さなければならない。ただし、次の6つの場合は、裁判所は請求を却下することができる。また、禁錮刑以上の判決が出た場合は権利保釈は認められない(同法344条。一審で実刑判決の場合でも控訴審で再保釈が認められることがあるが、これは次項の裁量保釈である)。死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した場合(同条1号)「短期1年以上」とは、「2年以上の懲役に処する」(非現住建造物等放火罪)など、法定刑の刑期の下限が1年以上であることをいう。 過去に、死刑、無期又は長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪について有罪判決を受けたことがある場合(同条2号)「長期10年を超える」とは、「15年以下の懲役に処する」(傷害罪)のように、法定刑の刑期の上限が10年を超えることをいう。 常習として、長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した場合(同条3号) 罪証隠滅のおそれがある場合(同条4号)実務上は、勾留要件における罪証隠滅のおそれと同義であると解されている。 被害者や証人に対し、危害を加えるおそれがある場合(同条5号) 氏名又は住所が明らかでない場合(同条6号) 裁量保釈(職権保釈ともいう。刑事訴訟法90条に規定。)裁判所は、請求がなくても、裁量で保釈を許すことができる。もっとも、実務上は、弁護人等からの保釈請求があった場合に、裁判所が、89条4号などに当たるとしながらも、諸般の事情に照らして保釈を許す場合に用いられ、請求がないのに職権で保釈する運用はされていない。 義務的保釈(刑事訴訟法91条に規定)勾留による拘禁が不当に長くなった場合は、裁判所は保釈を許さなければならない(実務上、本条によって保釈が行われることはあまりない)。
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