作成の上での注意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/28 17:36 UTC 版)
IPSは最終的には望ましい投資のリターンとボラティリティが示されているべきであるが、それは投資顧問と依頼人の十分な協議の結果が可視化されたものに過ぎない。そのため重要なことは、投資顧問と依頼人との間で十分な議論がされ双方が納得したうえで書類が完成していることである。この議論のプロセスはしばしば軽視されがちだが、その原因の一つとして顧問と依頼人の金融に対する知識のギャップと、顧問の依頼人に対する議論のリードが十分でないことが挙げられる。すなわち、依頼人は金融に対する知識が相対的に不足しがちなため、IPSを作成するうえで何が論点になりうるかわからず、かつ顧問が十分な論点整理を行わない状況下では、IPS作成のための論点が定まらず議論が発散したり、そもそも議論がなされなかったりする。一般的にその目的や標準的な内容に精通している投資顧問が議論を組み立てる責任を持つとするべきである。 投資顧問と依頼人の間で十分な信頼関係が築けないと判断された場合は、将来的なリスクを軽減するためにも依頼人は投資顧問を変更したり、投資顧問自らIPS作成の任を放棄するべきである。 依頼人の金融知識が少なすぎるために議論を構築することができずIPSの作成が困難だと投資顧問が判断した場合は投資顧問はIPS作成の任を放棄するべきである。例として依頼人が理論上不可能なリスクやリターンの取り方を投資顧問に要請するなどがありえよう。 投資顧問が依頼人特有の論点をくみ取ることができず、また議論をリードできないままIPS作成やサインを急ぐ場合、依頼人は投資顧問を変更すべきである。依頼人は投資顧問と比較して相対的に金融知識が不足していることが多いため、どの説明が足りないのかなど見えない内容の提示、議題化については投資顧問の善意に頼らざるを得ず、依頼人単体の努力では問題を指摘したり議論をリードできないケースが多いためである。 IPSは上記のように様々な要素が記載されているが、最終的に以下の内容が含まれているか確認すべきであろう。 結論としてどのような投資を行うのか その結論に至った哲学的な背景と、理論的(数学的)な背景は説明されているか その結論に至るまで投資顧問と依頼者の間で十分な議論がなされ、その過程が可視化されているか
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