任大将饗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 22:55 UTC 版)
画像540は同じ東三条殿で、藤原頼長の任大将饗が開かれたときの席の配置である。近衛府の大將・中将・少将と公卿は寝殿の南庇である。任近衛大将饗なので近衛府の少将は例え五位であっても直属の部下で重要なゲストになる。近衛府の官人でも侍階級の将監・将曹は床には上がれず通常は庭に席が設けられるが、この日は雨だったので庭に面した土間の軒廊(こんろう)である西透殿に畳みが敷かれる。近衛府官人でない殿上人は西庇。しかしこれはまだメイン会場のすぐ傍である。それに対して諸大夫は、寝殿の西弘庇も西北渡殿も北西渡殿も空いているのに、ずっと離れた西中門廊である。 貴族社会では位階が同じでも殿上人とそうで無い者は扱いが違う。内裏は勿論、摂関家の邸宅においても限られた者しか上がれない内郭の床の上でも身分によってどこまで入れるかが決まる。その一番外側が中門廊である。この二つの大饗の席の位置を比較すると単にランクの順に場所を割り当てたのではないことが解る。外郭と内郭は勿論だが、中門廊と西北渡殿(二棟廊)の間にも簡単には超えられない壁がある。
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