代数的性質による
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 17:26 UTC 版)
「底に関する指数函数」の記事における「代数的性質による」の解説
詳細は「コーシーの函数方程式」を参照 定義 1. 実指数函数とは R から R への恒等的に零でない函数で、少なくとも一点において連続、かつ和を積に写す: つまり f ( u + v ) = f ( u ) × f ( v ) ( ∀ u , v ∈ R ) {\displaystyle f(u+v)=f(u)\times f(v)\quad (\forall u,v\in \mathbb {R} )} を満足する任意の函数をいう。そのような函数 f は至る所連続かつ狭義正値であって、任意の実数 a > 0 に対して f(1) = a でただ一つ定まる f は底 a に対する指数函数 expa と呼ぶ。 言い換えれば、これら函数は (R, +) から (R×+ , ×) への群準同型であり、また指数函数全体の成す集合は R×+ に f ↦ f(1) を通じて全単射である。関係式 f ( u ) = f ( 2 u 2 ) = [ f ( u 2 ) ] 2 {\displaystyle f(u)=f\left(2{\frac {u}{2}}\right)=\left[f\left({\frac {u}{2}}\right)\right]^{2}} は函数の正値性を保証する。函数方程式から、一点において函数が非零ならば任意の点で非零となることも保証される。 さて、前節で述べたような仕方で、任意の a > 0 に対し、有理数上で定義された函数 f で上記の函数方程式を満足し、1 において値 a をとる函数の存在と一意性が保証される。 連続性の証明 —と、ℚ の ℝ における稠密性により— 上記の函数方程式を満足し、1 において値 a を取り、少なくとも一点で連続な函数の一意性が保証される。その存在性は連続性による延長(フランス語版)から得られる: 詳細 有理数の全体で定義された函数 x ↦ ax が単調なること、および数列a1/2n が 1 に収斂することは容易にわかる。したがって上記の函数方程式により、この函数が ℚ 上コーシー連続(フランス語版)となることが示され、連続性により ℝ へ延長する。連続性および稠密性により、この ℝ への延長はもとの函数方程式を満足する。 ここで、定数函数 1(これは a = 1 に対応する)を除いたこれらすべての函数 f : ℝ → ]0, +∞[ が全単射であることに注意を与えることができる。したがってこれらは、(R, +) から (R×+ , ×) への群同型を与える。 それにより、f が微分可能で微分方程式 f ′ ( x ) = f ′ ( 0 ) × f ( x ) ただし f ( 0 ) = 1 {\displaystyle f'(x)=f'(0)\times f(x)\quad {\text{ただし}}\quad f(0)=1} を満足することを示せる: 方法 1. 後述のように、函数 gk: x ↦ exp(kx) は g'k = kgk, gk(0) = 1 を満足し、かつ和を積に写す。k = exp−1(a) に対し gk(1) = a だから、一意性により gk = f を得る。 方法 2. 和を積に写す連続函数が微分可能でなければならないことを見るために、連続函数は原始函数を持つという事実を用いる。f の原始函数の一つを F とすれば、 ∫ 0 1 f ( x ) f ( t ) d t = f ( x ) ∫ 0 1 f ( t ) d t = f ( x ) ( F ( 1 ) − F ( 0 ) ) {\displaystyle \int _{0}^{1}f(x)f(t){\mathit {dt}}=f(x)\int _{0}^{1}f(t){\mathit {dt}}=f(x)(F(1)-F(0))} と書けて、これはまた ∫ 0 1 f ( x ) f ( t ) d t = ∫ 0 1 f ( x + t ) d t = F ( x + 1 ) − F ( x ) {\displaystyle \int _{0}^{1}f(x)f(t){\mathit {dt}}=\int _{0}^{1}f(x+t){\mathit {dt}}=F(x+1)-F(x)} とも書ける。函数 f は真に正値であるから、F は狭義単調増大で、したがって F(1) – F(0) は零でない。この二つの等式を比較して f ( x ) = F ( x + 1 ) − F ( x ) F ( 1 ) − F ( 0 ) {\displaystyle f(x)={\frac {F(x+1)-F(x)}{F(1)-F(0)}}} と書くことができ、これは f を可微分函数の線型結合として表すものであるから、f は微分可能である。 函数方程式 f ( x + u ) = f ( x ) f ( u ) {\textstyle f(x+u)=f(x)f(u)} の両辺を x で微分すれば f ′ ( x + u ) = f ′ ( x ) f ( u ) {\textstyle f'(x+u)=f'(x)f(u)} となるから、x = 0 として f ′ ( u ) = f ′ ( 0 ) f ( u ) {\textstyle f'(u)=f'(0)f(u)} を得る。
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