他分野での貢献
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 15:59 UTC 版)
「ヘルマン・エビングハウス」の記事における「他分野での貢献」の解説
エビングハウスは、児童の能力を研究する際に、文章補完の練習問題を先駆けて開発したともされている。それをアルフレッド・ビネーが借用し、今でいう知能指数を測るビネー・シモン知能尺度測定法に同種の問題が組み込まれた。文章補完はそれ以来、特に非陳述記憶の測定に活用できるとして、記憶研究において広範に使用されている。また、患者の動機づけや動因を援助するためのツールとして心理療法でも使用されている。また彼は、語彙意味論と社会学をレフ・ヴィゴツキーらと共に研究していたシャーロッテ・ビューラー(ドイツ語版)にも影響を与えた。 エビングハウスはまた、相対的な大きさの錯覚、後に発見者の名前からエビングハウス錯視として知られる目の錯覚を発見したとされている。この錯覚の最もよく知られたバージョンは、同じ大きさの2つの円があるのだが、片方は大きな円で囲まれており、もう片方は小さな円で囲まれているというもの。前者の中心にある円は、後者の円よりも小さく見えてしまう。この錯覚は現在、脳内の多様な知覚経路をより詳しく探求するために、認知心理学の研究で幅広く使用されている。 さらにエビングハウスは、初の標準的な研究報告書の原案にも大きく関与していたとされる。記憶に関する論文で、エビングハウスは導入・方法・結果・議論という4つのセクションに分けて記述した。この様式の明瞭さと構造は、同時代の人たちに非常に深い感銘を与え、論文規律における標準となり、今や全ての調査報告がエビングハウスによって配置されたのと同じ基準に沿っている。 ティチェナーやジェームズといった著名な同期人とは違って、エビングハウスは特定の心理学学校を創立したわけでもなく、生涯の広範囲な研究で知られているわけでもなく、ただ3つの研究を成し遂げただけである。彼は、実験心理学の先駆者という称号を自分自身に与えようとも思わず、「弟子」を持つことを求めず、新しい分野の開発は他の人に任せた。
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