人形の演出
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 16:56 UTC 版)
布袋劇では舞台上の人形操作と演出が上演に於いて重要な地位を占める。伝統的な布袋劇では、布袋人形の大きさは30cm程度であり、身体と四肢は全て布で製作されており、人形師は左手を人形の中に入れて操作していた。人差し指を頭の中に入れ、親指で布袋人形の右手を、それ以外の3本の指で人形の左手を操作し、左手全体を利用して人形全体の動き、頭部、手の動きを造出している。しかし小型で素朴な布袋人形では表情の変化を操作できないため、身体の動きのみで人物感情を表現する必要があるため、その熟練した演出を行うには相当の難度があった。 人形の役により分類すれば、布袋人形は生、旦、淨、末、丑の5種類に分類することができ、各種人形はそれぞれの手や足の動きを明確に業元する必要がある。これらは京劇、歌仔戯の強い影響が認められ、その身体動作が劇中の人物感情と上演テーマを表現することにあり、人間の動作を人情に注ぎ込むのである。布袋劇は片手で操作するため、人形師は通常1人で2台の人形を操作することも多かった。事実布袋劇は2台の人形が相互に会話を行ったり、また相互に戦う内容が多く、これらは一人の人形師によって操作された。これらは一般の伝統劇同様、会話を主とするものを文戯、武打の多いものを部戯と区分している。 20世紀中期以降、より高い視覚効果を高めることを目的に布袋劇人形の大型化が進み、50cmから場合によっては70cmのものが製作されるようになった。この大型化により人形師は両手で人形を操作するようになり、また伝統的な操作以外に、人形内部に特殊な装置を組み込み、縄により瞼や口を操作し、また手脚が彎曲する機構も採用された。このほか左右両手を使い沉思、奔跑、跳接や雲手臥魚等の身体表現を自由に行えるようになった。
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