二重層力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/15 21:12 UTC 版)
「デリャーギン・ランダウ・フェルウェー・オーバービーク理論」の記事における「二重層力」の解説
詳細は「二重層力」を参照 液体中の表面は表面基(例えばガラスやシリカ表面のシラノール基)の解離、もしくは周囲の溶液からの高分子電解質のような荷電分子の吸着により荷電されうる。これにより周囲の溶液から対イオンを引き付け共イオンをはじく壁面ポテンシャルが発生する。平衡状態においては、表面電荷は溶液中の反対に荷電した対イオンにより均衡が保たれる。高くなった対イオン濃度の表面付近の領域は電気二重層(EDL)と呼ばれる。EDLは2つの領域に分けて近似することができる。帯電した壁面に最も近い領域のイオンは、表面に強く結合している。この固定した層はシュテルン層もしくはヘルムホルツ層と呼ばれる。シュテルン層に隣接する領域は拡散層と呼ばれ、比較的移動性のある緩く結合したイオンを含んでいる。対イオン層の形成に起因するすべての電気二重層は、壁電荷の静電スクリーニングをもたらし、EDL形成のギブス自由エネルギーを最小にする。 拡散電気二重層の厚さはデバイスクリーニング長 1 / κ {\displaystyle 1/\kappa } として知られている。2つのデバイスクリーニング長の距離で、電気ポテンシャルエネルギーは表面壁の値の2%に減少する。 κ = ∑ i ρ ∞ i e 2 z i 2 ϵ r ϵ 0 k B T {\displaystyle \kappa ={\sqrt {\sum _{i}{\frac {\rho _{\infty i}e^{2}z_{i}^{2}}{\epsilon _{r}\epsilon _{0}k_{B}T}}}}} 単位は m−1である。ここで ρ ∞ i {\displaystyle \rho _{\infty i}} はバルク溶液中のイオンiの数密度である。 z はイオン価である。例えば、H+は+1のイオン価であり、Ca2+は+2のイオン価である。 ε 0 {\displaystyle \varepsilon _{0}} は真空の誘電率、 ϵ r {\displaystyle \epsilon _{r}} は比静誘電率 kBはボルツマン定数. 2つの平面間の単位面積当たりの反発エネルギーは W = 64 k B T ρ ∞ γ 2 κ e − κ D {\displaystyle W={\frac {64k_{B}T\rho _{\infty }\gamma ^{2}}{\kappa }}e^{-\kappa D}} となる。ここで γ {\displaystyle \gamma } は減少した表面ポテンシャル γ = tanh ( z e ψ 0 4 k T ) {\displaystyle \gamma =\tanh \left({\frac {ze\psi _{0}}{4kT}}\right)} ψ 0 {\displaystyle \psi _{0}} は表面の電位 半径Rの2つの球の間の相互作用自由エネルギーは W = 64 π k B T R ρ ∞ γ 2 κ 2 e − κ D {\displaystyle W={\frac {64\pi k_{B}TR\rho _{\infty }\gamma ^{2}}{\kappa ^{2}}}e^{-\kappa D}} である。ファンデルワールス相互作用エネルギーと二重層相互作用エネルギーを一緒にすることにより、液体中の2つの粒子もしくは2つの表面間の相互作用は W ( D ) = W ( D ) A + W ( D ) R {\displaystyle W\left(D\right)=W(D)_{A}+W(D)_{R}\,} となる。ここでW(D)Rは電気的な反発による斥力相互作用エネルギーであり、W(D)Aはファンデルワールス相互作用による引力相互作用エネルギーである。
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