乳頭・乳輪の再建
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 14:38 UTC 版)
乳首(乳頭および乳輪を合わせた総称)の再建手術は肉体への負担が少なく、外来でも手術可能である。乳房自体の再建が完了したあとに、改めて行われることも多く、一度形成した乳首を移動・修正することは困難であるので、特に自己組織による乳房再建を行った際には、その形状が充分落ち着いてから再建することが好ましいとされる。ただし乳房の再建と比較すると、乳首の再建を希望する患者は少ない。 色調に関しては必要であればtattoo(入れ墨)で対応するが、患者に特にこだわりがない場合には特に何もせずにおき、 他人との入浴時などやむを得ない時のみ、サインペンや油性マーカーなどで着色して済ませると言った例もある。 将来授乳の可能性が無い場合は健側の乳首を用いての移植による再建が望ましいが、患者の乳首が小さい場合はやはりそれは難しく、また健側にまで手を入れることを患者が良しとしない場合もある。健側の乳首を移植する場合、健側の乳輪を半円状、乃至は螺旋状に採取し、これを円形に整形して移植。採取部も同等の整形を行うなどの術式(反対側乳頭・乳輪移植法)があり、乳頭に関しては、健側の半分を移植し、健側に残された元側半分は整形して納める方法(composite graft法)などもある。また乳輪に関しては、健側の乳輪の外周部を環状採取し(これにより健側乳輪はやや小振りなものとなる)、採取した一本の帯状乳輪を渦巻き状または輪状に植皮し円形に乳輪を形成する方法(反対側乳輪移植法)、その他野平法、S字状乳頭作成術など、様々な方法がある。 移植以外にも、乳頭に関しては局所皮弁法が一般的である。また、小陰唇や耳介からの移植、脂肪注入法や、皮弁内に耳介軟骨や人工骨を移植し長期間乳頭の隆起を保つ矢永法など、様々な方法がある。 なお、乳頭・乳輪の再建術は部分壊死などを起こすケースもあるが、感染はほとんど見られない。 乳輪に関しては前述のtattooなどの他、色素沈着のある大陰唇または外陰部からの移植などがある。乳輪については健側は弛緩と緊縮で大きさが変わる場合があるため、再建時には注意を要する。ちなみに男性の場合は陰嚢からの移植が行われる場合がある。 乳首が温存できる軽度の乳癌などの場合は乳首を下腹部に移植しておき、乳房再建後これを再移植することも可能である。
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