中山氏とは? わかりやすく解説

中山氏

(中山備前守 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/19 16:13 UTC 版)

中山氏
枡形の内に月 ますがたのうちにつき
虎杖 いたどり
丹の字 たんのじ
本姓 多治比氏丹党加治支流
種別 武家
華族男爵
主な根拠地 武蔵国
常陸国多賀郡茨城郡
東京府牛込区
茨木県多賀郡
著名な人物 中山照守
凡例 / Category:日本の氏族

中山氏(なかやまし)は、日本の氏族の一つ。

概要

高麗五郎経家が武蔵国高麗郡加治郷に定着したことから当初は加治氏を名乗った。その13代目の家勝が同郷の中山村に移住したため以後は中山氏を称した。中山家勝は武蔵七党丹党の一族(加治氏)として武蔵を基盤に活動し、山内上杉家に仕えた。ついで後北条氏北条氏康に仕えた。家勝の子中山家範(勝範)は北条氏照に仕え、1580年天正8年)に豊臣秀吉北条攻めを受け、八王子城を守って討ち死にした。[1]

幕府旗本の中山氏

家範の嫡男である中山照守(家守)は、北条家滅亡後に新たに関東の支配者となった徳川氏に仕えた。照守は上田合戦上田七本槍に数えられる奮戦をし(ただし、軍律違反で謹慎処分を受けている)、また高麗八条流馬術を将軍徳川秀忠徳川家光に伝授して、最終的に3500石の大身旗本となった。子孫も旗本として存続した。旗本中山家からは、それぞれ盗賊改・火付改に任じられて「鬼勘解由」とあだ名された中山直守中山直房親子などが出ている。

なお、中山照守の曾孫の直邦黒田直綱の名跡を継ぎ、譜代大名となっている。

水戸藩附家老→華族男爵家の中山氏

また照守の弟の中山信吉(後の中山備前守家)も徳川家康に近習として仕え、慶長12年に常陸水戸藩徳川頼房に附属されて常陸国真壁郡内に6500石を領した。さらに慶長14年に1万5000石、元和7年に2万石、宝永5年に2万5000石に加増された[2][3]。水戸藩の付家老家だった。

明治元年(1868年)1月24日に水戸藩から独立した藩屏と認められ、常陸松岡藩となった。明治2年(1869年)6月の版籍奉還で松岡藩知事に任じられるとともに華族に列し、明治4年(1871年)7月の廃藩置県まで同藩知事を務めた[4]

版籍奉還の際に定められた家禄は現米で405石[5][注釈 1]。明治9年の金禄公債証書発行条例に基づき家禄の代わりに支給された金禄公債の額は、1万4185円12銭5厘(華族受給者中290位)[7]

明治前期に当時の当主信実の住居は東京府牛込区東五軒町にあった。当時の家扶は、高階知訓、大森勉[8]

明治17年(1884年)7月7日の華族令の施行で華族が五爵制になると、同月8日に「一新後に華族に列せられたる者」として信実が男爵に列せられた[9][10]

昭和9年に信実が死去すると信常が爵位と相続[3]。彼の代の昭和前期に中山男爵家の住居は茨木県多賀郡松岡村にあった[11]

系譜

実線は実子、点線(縦)は養子、点線(横)は婚姻関係。
丹生武信
 
 
 
峯信
 
 
 
峯時
 
 
 
峯房
 
 
 
武綱
 
 
 
武時
 
 
 
武平
 
 
 
丹基房
 
 
 
高麗経家
 
 
 
加治家季
 
 
 
助季
 
 
 
清季
 
 
 
行季
 
 
 
季光
 
 
 
季頼
 
 
 
規季
 
 
 
季憲
 
 
 
実季
 
 
 
季国
 
 
 
氏季
 
 
 
中山家勝
 
 
 
家範
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
照守 信吉
 
 
 
直定
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
直守 直張
 
 
 
 
 
直房 黒田直邦

脚注

注釈

  1. ^ 明治2年6月17日の版籍奉還時、藩財政と藩知事の個人財産の分離のため、藩の実収入(現米)の十分の一をもって藩知事個人の家禄と定められた[6]

出典

  1. ^ 小山譽城『徳川御三家付家老の研究』(清文堂出版、2006年ISBN 4-7924-0617-X
  2. ^ 新田完三 1984, p. 762.
  3. ^ a b 霞会館華族家系大成編輯委員会 1996, p. 254.
  4. ^ 新田完三 1984, p. 764.
  5. ^ 霞会館華族家系大成編輯委員会 1985, p. 20.
  6. ^ 刑部芳則 2014, p. 107.
  7. ^ 石川健次郎 1972, p. 55.
  8. ^ 石井孝太郎『国立国会図書館デジタルコレクション 明治華族名鑑』深沢堅二、1881年(明治14年)https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/994441/71 国立国会図書館デジタルコレクション 
  9. ^ 小田部雄次 2006, p. 23/340.
  10. ^ 浅見雅男 1994, p. 26/35-36.
  11. ^ 華族大鑑刊行会 1990, p. 672.

参考文献

関連項目





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