ヴェルンドの歌
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「ヴェルンドの歌」(Völundarkviða より正確には Vǫlundarkviða)[1] は、古エッダの神話的な詩のひとつである。
あらすじ
この詩は職人のヴェルンドの物語と関連しており、詩の中で彼は「妖精(アールヴ)の王子(vísi álfa)」あるいは「妖精のリーダー(álfa ljóði)」と呼ばれる。ヴェルンドはまた、フィンの王の3人の息子のひとりであると言及される。彼の妻ヘルヴォル・アルヴィトはヴァルキュリャで、9年後夫を捨て去り、その後ヴェルンドは、彼の黄金に目が眩んだニャーラル(スウェーデン)の小王ニーズスに捕らえられる。ヴェルンドは膝の腱を切られ、島にある王のための品を制作する工房へ入れられる。最終的にヴェルンドは逃げる方法を見つけ、ニーズスの息子を殺し、娘を妊娠させ、笑いながら飛び去る。
「ヴェルンドの歌」は、生き生きした描写を呼び起こすことに真価を認められる。
- In the night went men,
- in studded corslets,
- their shields glistened
- in the waning moon.
- 「ヴェルンドの歌」第6スタンザ、ソープ訳。
- 鋲打たれた甲冑の
- 男どもは夜を行く
- 欠けゆく月に
- 彼らの盾が輝いた

ヴェルンドの神話は、ゲルマン族のひとびとの間に広く知られていたようである。この物語は『シズレクのサガ(ヴェーレントの話)』とも関連しており、古英語詩「デオールの嘆き」の中でも言及されている。また、7世紀のアングロ・サクソン族のフランクスの小箱のパネルの1つと、ゴトランド島にある8世紀のアードレの絵画石碑VIIIに描かれている。
この詩は王の写本の神話詩の中に完全に保存されているほか、散文による序詞がAM 748 I 4to断片にも見られる。
脚注
- ^ 「ヴェルンドの歌」の英語化にはVölundarkvitha, Völundarkvidha, Völundarkvida, Volundarkvitha, Volundarkvidha, Volundarkvida などがある。
出典
翻訳元
- アーシュラ・ドロンケ (編訳) (1997). The Poetic Edda, vol. II, Mythological Poems. Oxford: Clarendeon. ISBN 0-19-811181-9.
- ベンジャミン・ソープ(翻訳) (1866). Edda Sæmundar Hinns Froða: The Edda Of Sæmund The Learned. (2 vols.) London: Trübner & Co. 1866. Reprinted 1906 as Rasmus B. Anderson & J. W. Buel (Eds.) The Elder Eddas of Saemund Sigfusson. London, Stockholm, Copenhagen, Berlin, New York: Norrœna Societ. Available online at Google Books. Searchable graphic image version requiring DjVu plugin available at University of Georgia Libraries: Facsimile Books and Periodicals: The Elder Eddas and the Younger Eddas.
翻訳
- V.G.ネッケル他編 『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、p.93-98。
「ヴェルンドの歌」の完訳を収録。
外部リンク
英訳
- Völundarkvitha ヘンリー・アダムズ・ベロウズによる英訳と解説。
- Bellows' translation with facing page Old Norse text
- Translation ベンジャミン・ソープによる英訳。
- Völundarkviða W・H・オーデン、P. B. Taylorによる英訳。
古ノルド語版
- Völundarkviða ソーフス・ブッゲによる写本のテキストに基づく版。
- Völundarkviða Guðni Jónssonによる綴り字を標準化した版。
ヴォルンドの歌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 07:03 UTC 版)
『ヴォルンドの歌』の導入部の散文は、スラグフィズ、エギル、ヴォルンドの兄弟がウールヴダリル(狼の谷)と呼ばれる地に建てた家に住まう話を語るものである。ある朝早く、兄弟はウールヴスヤール(狼の湖)の畔で糸を繰る3人の女に出会う。彼らはヴァルキュリャで、「かたわらには白鳥の羽衣がおいてあ」った。うち2人はフロドヴェール王の娘で、名はフラズグズ・スヴァンフヴィート(白鳥の白)とヘルヴォル・アルヴィト(おそらく「全知」の意)といった。もう一人は、ヴァランドのキャール王の娘で、名をオルルーン(おそらく「ビール(エール)のルーン」の意)といった。エギルがオルルーンを、スラグフィズがフラズグズを、ヴォルンドがヘルヴォルを連れ帰り、7つの冬の間一緒に暮らしたが、女たちはある日戦場へと飛び去って戻ってくることはなかった。エギルは雪靴を履いてオルルーンを探しに行き、スラグフィズもフラズグズを探しに出たが、ヴォルンドはウールヴダリルに留まった。
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