ヴォルテとは? わかりやすく解説

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ボルテ【VoLTE】


VoLTE

(ヴォルテ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/12 23:22 UTC 版)

VoLTE英語: Voice over LTE, Voice over Long Term Evolution、ヴォイス・オーバー・LTE(ロング・ターム・エボリューション)、ヴォルテ、ボルテ)とは、携帯電話に利用されるデータ通信技術、及び通信技術規格の名称である。

LTE網は高速なパケット交換が可能であるが、音声通話のための回線交換を想定していない。そこで、IP電話のように音声およびビデオ通信をデータ(パケット)として取り扱い、LTE網で音声通話およびビデオ通信を実現するための技術としてGSMAで標準化が進められている[1]のがVoLTEである。インターネットを経由する一般的なVoIPではQoS保証がなく遅延が発生しやすいが、VoLTEではQoS保証による優先制御で遅延を抑えている。また、広帯域な音声コーデックの採用によって従来の第3世代移動通信システムを上回る通話品質を得られる[2]

概要

VoLTEは、IPマルチメディアサブシステムでLTEが音声を取り扱えるようにするためGSMAが規格文書PRD IR.92で定義した手法である[3]

VoLTEの特徴は以下の通りである。

  • LTEデータベアラ内で音声サービス(コントロールプレーン、メディアプレーン)をデータフローとして転送できる。これにより、従来の回線交換網に依存する必要がなくなる。
  • 3G UMTSの3倍以上、2G GSMの6倍以上のデータ容量を有する。またVoLTEパケットのヘッダは通常のVoIP/LTEのヘッダより小さいため、帯域幅を有効活用できる[4]
  • 新しいコーデックAMR-WBEVS)の採用により音声品質が向上する。
  • 通話中の高速LTEデータ通信が可能。

携帯電話事業者を跨いだ高音質通話には事業者間のIP回線上での相互接続が必要となる。なお、発信あるいは着信の片側のみがVoLTE対応していた場合やIP回線上での相互接続がない他事業者間であっても、電話機から基地局や契約事業者までの音声通信はVoLTEで接続され、高音質通話以外の部分(発着信の高速化や通話中のLTEデータ通信など)においてVoLTEのメリットを享受できる[5]。また、PHS、固定電話相手など、それまで携帯電話側のコーデック(EVRC-BAMR-NBなど)が音質のボトルネックになっていた場合は、その分の音質改善が期待できる。

国際ローミング中のVoLTE利用についても携帯電話事業者間の接続協定が必要となり、徐々に進められている。

日本でのサービス

日本では、NTTドコモが2014年6月24日から[6]KDDI沖縄セルラー電話連合(各au)が同年12月12日から[7]ソフトバンクモバイルが同年12月19日から[8]、それぞれVoLTEサービスを開始している。いずれもVoLTEの読みとしては「ボルテ」を使用している[9][10][11]

各社とも音声コーデックとしてAMR-WBのみ対応していたが、ドコモやソフトバンクはさらに高音質なEVSコーデックにも対応したVoLTE(HD+)を提供開始している[9][12]

auはこれを機に端末やSIMカードからPLMNに至るまでVoLTE専用のネットワークを構築し、CDMA2000からVoLTEに巻き取る方向へ大きく舵をきった。

ソフトバンクでは当初LTEエリア内からの発信であっても、110番通報などの緊急通報用電話番号に関しては3Gにフォールバックされて発信される仕様[13]だったが、2017年2月1日までにVoLTEのまま発信されるように改善されている[14]

事業者を跨ぐ高音質通話については長らく実現していなかったが、IP回線やSIPを処理できる交換機の開発などを経て、2018年10月のNTTドコモ - ソフトバンク間を皮切りに順次相互接続が進められている[15][16]

また、NTT東西地域会社の公衆交換電話網2024年1月からIP方式による相互接続を開始している。

脚注

  1. ^ Voice and Video calls over LTE
  2. ^ ASCII.jp:ドコモで始まるVoLTEってなに? それってメリットあるの?(2/2)”. ASCII.jp (2014年5月16日). 2014年12月26日閲覧。
  3. ^ Nick Russell (3 March 2013). “Official Document IR.92 - IMS Profile for Voice and SMS” (PDF). GSMA. 14 September 2014閲覧。
  4. ^ Elkin, Ed (10 April 2014). “The Secret Value of VoLTE”. TMCnet. http://blog.tmcnet.com/next-generation-communications/2014/04/the-secret-value-of-volte.html 14 September 2014閲覧。 
  5. ^ 音質向上、通話しながらサクサク通信「VoLTE」、ドコモが6月末に
  6. ^ 国内初、VoLTEの提供を開始”. NTTドコモ (2014年6月18日). 2015年2月15日閲覧。
  7. ^ 次世代音声通話サービス「au VoLTE」の提供開始について”. KDDI (2014年10月27日). 2015年2月15日閲覧。
  8. ^ 「VoLTE」による音声通話サービスの開始について”. ソフトバンクモバイル (2014年12月12日). 2015年2月15日閲覧。
  9. ^ a b VoLTE/VoLTE(HD+)”. NTTドコモ. 2022年7月4日閲覧。
  10. ^ au VoLTE(ボルテ)”. au. KDDI. 2022年7月4日閲覧。
  11. ^ [用語集]VoLTEとは何ですか?”. ソフトバンク. 2022年7月4日閲覧。
  12. ^ VoLTE/VoLTE(HD+)”. ソフトバンク. 2022年7月4日閲覧。
  13. ^ 「VoLTE」オプション提供条件書”. SBパートナーズ (2016年12月2日). 2017年3月31日閲覧。
  14. ^ 「VoLTE」オプション提供条件書”. ソフトバンク (2017年2月1日). 2017年3月31日閲覧。
  15. ^ 他キャリアとのVoLTE通話、ドコモ、ソフトバンクは10月から順次開始 - ケータイ Watch”. インプレス (2018年12月10日). 2019年4月25日閲覧。
  16. ^ テクニカル・ジャーナル Vol.26 No.3” (PDF). NTTドコモ (2018年11月). 2019年4月25日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク


ヴォルテ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 18:36 UTC 版)

西洋剣術」の記事における「ヴォルテ」の解説

レイピアにおけるカウンター技術で、相手踏み込んできた時、剣は相手移動線上においたまま、体を捻って突きをかわすものであるフェンシングで時おりみられるダッキングはこれの変形で、剣を残したまましゃがみこむ相手大きく踏み込んでくるのが見えたら、その相手の体の正面切っ先を向け、左足後ろから横へと移動させる。足の移動と身を捻る角度によって、デミ・ヴォルテ(45度)、ハーフ・ヴォルテ(90度)、フル・ヴォルテ(180度)の3種類がある。 フル・ヴォルテでは、左足が体を中心に元の位置とは反対位置まで移動し相手に完全に背中を向ける形になる。 手の平を上を向け、手首は剣と90度の角度をつけることで、踏み込んできた相手切っ先を向ける。フル・ヴォルテはまた、後ろ向きにランジする形で、軸線をずらす攻撃としても使用される。 ヴォルテは片手剣でのみ使われる。ヴォルテは自分の軸を相手中心からはずしつつ攻撃する剣道には見られないとても西洋剣術的な動きである。

※この「ヴォルテ」の解説は、「西洋剣術」の解説の一部です。
「ヴォルテ」を含む「西洋剣術」の記事については、「西洋剣術」の概要を参照ください。

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