ロンドンオリンピックでの騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 03:41 UTC 版)
「ジュリー (柔道)」の記事における「ロンドンオリンピックでの騒動」の解説
2012年7月に開催されたロンドンオリンピックでは、IJFの審判委員会によって選ばれた25名のインターナショナル審判員と3名のジュリーによって試合が運営されることになった。なお、審判員はコンピューター抽選によって担当試合が振り分けられた。 但し今大会では、畳の上の審判員による技の判定が試合を監督するジュリーによって覆されるケースが何度となく起こり、物議を醸す事態にまで発展した。 とりわけ、男子66kg級準々決勝の海老沼匡対韓国の曺準好戦では大きな騒ぎとなった。この試合での海老沼は、曺による反則負けの対象となりえる立ち姿勢から倒れ込む腕挫腋固にも疑われる技でで負傷しながらも、ゴールデンスコアに入ってから小内巻込を決めて、主審であるブラジルのエディソン・ミナカワもそれを有効と示したことにより、一旦は試合が終了したものと思われた。しかし、ジュリーの判断によって有効が取り消されて試合が続行されることになった。その後両者ポイントなく試合が終了した。旗判定では曺を支持する青旗3本が上がったものの、観客による大ブーイングが起こるなど場内が騒然となった。ジュリーからもこの判定に対する異議が唱えられて旗判定のやり直しが指示されると、今度は海老沼を支持する白旗3本が上がり海老沼の勝利となった。 この事態に対して、今大会審判委員長も務めていたバルコスは、「あの海老沼の技は有効に近かった。そのため、3人のジュリーが3人とも海老沼の勝ちだと判断し、判定をくつがえすよう審判に伝えた。審判はミスをするものだ」「我々の責任は柔道精神を維持すること。真の勝者が勝者として畳を降りる状況を作った」と語った。 IJFもこの件に関して声明を出して、旗判定をやり直させるような事態は今回が初めてのケースではあったものの、「最終的に正しい判定だった」とした。また、「審判は大変な重圧を受けている。ビデオ判定システムはその大きな助けだ」とも付け加えた。 一部のマスコミは、南米で柔道を指導するある日本人コーチの話として、「あの人(ミナカワ)は、旗判定になると日本人に上げないことで有名」との談話を伝えた。 なお、この試合で審判を務めた主審のミナカワと副審2名の計3名は翌日の試合の審判から外されたが、その後また復帰した。
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