ロシュ社のタミフル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/09 05:14 UTC 版)
2009年には、世界保健機関がパンデミックレベル6のインフルエンザ流行の警告をあげ不発に終わったのは、政府や科学者に対する製薬会社による影響があったためである。ロシュは未公表の試験に基づきタミフルが入院リスクを61%、合併症リスクを67%低下させると主張し、このインフルエンザの流行に備えて、アメリカ政府は15億ドル、欧州の政府は10億ユーロを投じてタミフルを備蓄した。後に『イギリス医師会雑誌』(BMJ)はサイトを立ち上げ、ロシュ社に対して完全な臨床試験データを公開するよう促した。 2012年には、コクラン共同計画が日本、アメリカ、欧州の規制機関に提出された臨床試験のデータをシステマティック・レビューし、21時間発症時間が短縮されることと、感染や入院のリスクを低下させるかは結論できないとし、また出版バイアスの可能性を発見した。そして2014年には提出された完全なデータに基づいて、報告は改定された。伴って、コクラン共同計画とBMJは声明を出した。それは、出版バイアスを除外した24,000人以上からの分析からは、オセルタミビル(タミフル)とザナミビル(リレンザ)は、当初の使用の理由である入院や合併症を減少させるという十分な証拠はなく、成人では発症時間を7日から6.3日に減少させ、小児では効果は不明であり、5%に嘔吐・悪心の副作用が生じ、精神医学的な副作用を1%増加させるとし、世界的な備蓄が必要なほどの恩恵があるかどうかの見直しの必要性を報告した。
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