レダと白鳥 (ブーシェ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 08:29 UTC 版)
| スウェーデン語: Leda och svanen 英語: Leda and the Swan |
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| 作者 | フランソワ・ブーシェ |
|---|---|
| 製作年 | 1742年 |
| 種類 | 油彩、キャンバス |
| 寸法 | 59.5 cm × 74 cm (23.4 in × 29 in) |
| 所蔵 | スウェーデン国立美術館、ストックホルム |
| フランス語: Léda et le cygne 英語: Leda and the Swan |
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| 作者 | フランソワ・ブーシェ |
|---|---|
| 製作年 | 1746年 |
| 種類 | 油彩、キャンバス |
| 寸法 | 88.9 cm × 101.6 cm (35.0 in × 40.0 in) |
| 所蔵 | ロサンゼルス・カウンティ美術館 |
『レダと白鳥』(レダとはくちょう、典: Leda och svanen、仏: Léda et le cygne、英: Leda and the Swan)は、フランス・ロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1742年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。ギリシア神話にある「レダと白鳥」の物語を主題としている。2点のほぼ同じヴァージョンがあり、そのうちの1点はストックホルムのスウェーデン国立美術館に[1]、もう1点はロサンゼルス・カウンティ美術館に所蔵されている[2][3]。また、ロンドンのウォレス・コレクションにも、ブーシェの作品にもとづく、象牙上に油彩で描かれたミニアチュールの同主題作品が所蔵されている[4]。
主題
オウィディウスの『変身物語』には、本作の主題が短く記述されている[4]。それによると、ユピテルは水辺にいるスパルタ王の娘レダを見初めた。レダを手に入れるため、ユピテルは白鳥となって彼女に近づき、警戒心を解き、油断させて思いを遂げたという。その後、レダは2つの卵を産み落とし、1つからはポリュデウケースとヘレネーが、もう1つからはカストールとクリュタイムネーストラーの2組の双子が生まれた[5]。
この主題はそのエロティシズムゆえにルネサンス時代以降しばしば取り上げられ[6]、レオナルド・ダ・ヴィンチやコレッジョなどの画家たちにより描かれた。前者の作品は現存していないが、フランチェスコ・メルツィの複製 (ウフィツィ美術館、フィレンツェ)[5]などにより知られ、後者の『レダと白鳥』は現在、絵画館 (ベルリン) に所蔵されている[6]。
作品
本作は、2人の裸体女性が水辺で布に横たわっている姿を表わしている[3]。彼女たちの左横には大きな白鳥がおり、その首を女性たちの方に向けている。右側の女性は、左側の女性に寄りかかっている。豊かな緑の植物が彼女たちを囲み、画面上部からは蔓植物が垂れ下がっている。場面は暖かく柔らかな光に照らされ、官能的で親密な雰囲気を生み出している[3]。
ブーシェの作品はレオナルド・ダ・ヴィンチやコレッジョの作品とは異なり、レダと白鳥を組み合わせてはいない。代わりに画家は2人の女性を登場させており、どちらがレダなのか、あるいはレダがはたして描かれているのかどうかも判然としない[4]。
脚注
- ^ “Leda and the Swan”. スウェーデン国立美術館公式サイト (英語). 2025年10月30日閲覧。
- ^ “Leda and the Swan”. ロサンゼルス・カウンティ美術館公式サイト (英語). 2025年10月30日閲覧。
- ^ a b c “Leda and the Swan”. Feel the Artサイト (英語). 2025年10月30日閲覧。
- ^ a b c “Leda and the Swan, after Boucher”. ウォレス・コレクションサイト (英語). 2025年10月30日閲覧。
- ^ a b 「聖書」と「神話」の象徴図鑑 2011年、75頁。
- ^ a b 『NHK ベルリン美術館1 ヨーロッパ美術の精華』、1993年、105頁。
参考文献
- 岡田温司監修『「聖書」と「神話」の象徴図鑑』、ナツメ社、2011年刊行 ISBN 978-4-8163-5133-4
- 有川治男・重延浩・高草茂編集『NHK ベルリン美術館1 ヨーロッパ美術の精華』、角川書店、1993年刊行 ISBN 4-04-650901-5
外部リンク
- レダと白鳥_(ブーシェ)のページへのリンク