アドニスの死_(ブーシェ)とは? わかりやすく解説

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アドニスの死 (ブーシェ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/28 16:39 UTC 版)

『アドニスの死』
スペイン語: La muerte de Adonis
英語: The Death of Adonis
作者 フランソワ・ブーシェ
製作年 1723-1725年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 65.3 cm × 81.6 cm (25.7 in × 32.1 in)
所蔵 プラド美術館マドリード

アドニスの死』(アドニスのし、西: La muerte de Adonis: The Death of Adonis)は、18世紀フランスロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが画業初期の1723-1725年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。2024年にマドリードプラド美術館の学芸員であったフアン・ホセ・ルナ・フェルナンデス (Juan José Luna Fernández) 博士の遺贈資金により[1][2]、同じくブーシェの『アドニスの誕生』とともに220万ユーロで購入され[2]、現在プラド美術館に所蔵されている[1][2]

作品

『アドニスの誕生』と本作『アドニスの死』は、同じキャンバス布に描かれている。プラド美術館で行われたばかりの両作品の修復により、ブーシェに特徴的な色彩の輝きが増しただけでなく、彼の署名に加え、制作過程において行われた変更が明らかになった[2]

ブーシェ『アドニスの誕生』 (1723-1725年)、プラド美術館、マドリード

ギリシア神話の登場人物アドニスの物語においては、愛、悲劇、エロティシズムという主題を青々とした植物、噴水、泉のあるアルカディア的な情景と組み合わせることが可能であった[1]。そのため、ロココ時代の洗練された趣味に完璧に合致し[2]、当時の画家たちにとりわけ好まれた[1]

フェニキアの王キニュラースの娘ミュラーヴィーナスによって魔法をかけられ[3]、父親キニュラースに恋してしまう。彼女は娼婦になりすまし、彼を誘惑する。計略を知ったキニュラースはミュラーを殺そうとする[1]が、その瞬間、妊娠していた彼女は没薬の木に変身してしまう。そして、その木の中で育ち、幹から生まれたのがアドニスである[1][3]

アドニスは、誰もがその魅力に夢中にならずにはいられない、匂い立つような美しさを持つ男の子であった[3]。彼は血気盛んな若者に成長し、美の女神ヴィーナスを虜にするほどの美青年となる。狩りに夢中になった彼は、ヴィーナスの心配をよそにしばしば狩りに出かけたが、ある時、大きなイノシシに襲われ、絶命した[3]。本作に表されているのは、その場面である[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g The Death of Adonis”. プラド美術館公式サイト (英語). 2025年10月28日閲覧。
  2. ^ a b c d e Prado Acquires Pendant Paintings by François Boucher”. Enfiladeサイト (英語). 2025年10月28日閲覧。
  3. ^ a b c d 吉田敦彦 2013年、108-109頁。

参考文献

  • 吉田敦彦『名画で読み解く「ギリシア神話」、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13224-9

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