ユピテルとカリスト_(ブーシェ、ウォレス・コレクション)とは? わかりやすく解説

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ユピテルとカリスト (ブーシェ、ウォレス・コレクション)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 08:21 UTC 版)

『ユピテルとカリスト』
フランス語: Jupiter et Callisto
英語: Jupiter and Callisto
作者 フランソワ・ブーシェ
製作年 1769年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 129 cm × 160 cm (51 in × 63 in)
所蔵 ウォレス・コレクションロンドン

ユピテルとカリスト』(: Jupiter et Callisto, : Jupiter and Callisto)は、18世紀フランスロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが死の前年にあたる1769年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。現在、ロンドンウォレス・コレクションに所蔵されている[1][2]。主題はブーシェがしばしば取り上げたもので[1]モスクワプーシキン美術館にもよく知られた同主題作が収蔵されている[3]

作品

ブーシェ『ユピテルとカリスト』 (1744年)、プーシキン美術館モスクワ

オウィディウスの『変身物語』 (第2巻、417-440行) には[1][3]女神ディアナと彼女のお気に入りのニンフであったカリストの物語が記されている。カリストはディアナに変身したユピテルに誘惑され、妊娠してしまう。そのことを知ると、ディアナはカリストを罰するためにクマに変え、犬に彼女を襲わせた[1]。非常に潔癖な処女神で、けっして男性を受け入れようとはしなかったディアナは、自身に従うニンフたちにも同じように潔癖であることを求めた[1][4]からである。ユピテルは、カリストとその息子アルカスを救い出し、彼らをおおぐま座こぐま座に変身させた[1]

本作の場面は、豊かな緑色の木々の中に設定されている[2]。ピンク色のドレスを纏っているのはディアナに変身したユピテルで、彼女がディアナであることはディアナのアトリビュート (人物を特定する事物) である頭部の三日月により示される[3][4]。彼女の前に裸体を見せ、座っているのはカリストである。2人のキューピッドがユピテルとカリストの頭上を飛翔しており、そのうちの1人が恋の矢を放とうとしている。この場面は、ハト、バラ、ユピテルのアトリビュートの[3] (画面上部左側) など愛と誘惑の象徴に満ちている[2]

ブーシェが本作の主題をしばしば取り上げたのは、ジェンダーの役割の曖昧性が当時の趣向に合致し、彼の顧客たちに魅力的なものであったからである[1]。1760年代には本作に類似したヴァージョンが何点か制作されたが、そのうちフォンテーヌブロー宮殿にあるものはゴブラン織タピストリーの下絵として用いられた[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h Jupiter and Callisto”. ウォレス・コレクション公式サイト (英語). 2025年10月29日閲覧。
  2. ^ a b c Jupiter and Callisto”. Feel the Artサイト (フランス語の英訳). 2025年10月29日閲覧。
  3. ^ a b c d 『プーシキン美術館展 フランス絵画300年』、2013年、42頁。
  4. ^ a b 吉田敦彦 2013年、52-53頁。

参考文献

  • 『プーシキン美術館展 フランス絵画300年』、横浜美術館、愛知県美術館、神戸市立美術館、朝日新聞社、2013年刊行
  • 吉田敦彦『名画で読み解く「ギリシア神話」、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13224-9

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