化粧_(ブーシェの絵画)とは? わかりやすく解説

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化粧 (ブーシェの絵画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 08:25 UTC 版)

『化粧』
スペイン語: La Toilette
英語: La Toilette
作者 フランソワ・ブーシェ
製作年 1742年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 52.5 cm × 66.5 cm (20.7 in × 26.2 in)
所蔵 ティッセン=ボルネミッサ美術館マドリード

化粧』(けしょう、西: La Toilette: La Toilette)は、18世紀フランスロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1742年にキャンバス上に油彩で制作した風俗画である。1967年にニューヨークで購入され、ハンス・ハインリヒ・ティッセン=ボルネミッサ男爵のコレクションに入った[1]。現在は、マドリードティッセン=ボルネミッサ美術館に所蔵されている[1][2]

作品

画面に描かれているのは、散らかった部屋の内部で婦人が召使の手を借りて、朝の身づくろいをする場面である[2]。婦人はガーターを結び付けつつ、背後から描かれた召使が差し出す帽子を見ている。この情景は、18世紀フランス富裕層の室内[2]がどのようなものであったかを示す貴重な記録となっている[1]

ブーシェによる夫人の肖像『昼間用寝台の上の女性』 (1743年)、フリック・コレクションニューヨーク

壁と椅子は明るい黄色の布地で覆われ、この布地を背景に、鳥が描かれた中国屏風が際立つ。屏風は、部屋の端および壁から青い布で垂れ下がる女性頭部のパステル画を隠している。椅子と化粧机には重い布が積まれ、暖炉前の床にもふいご、筆、など様々な品が散らばっている。同様にマントルピースの上にも、いろいろな品が散乱している。暖炉前の火除けの衝立からウールの毛糸球を取って、遊んでいる子猫が、この場の雰囲気を形作るのに貢献している[1]。なお、屏風と火除けの衝立はフランス東インド会社を通じてもたらされたもので、当時の裕福な家庭の室内を飾っていたものである[2]

画中の婦人は、時折ブーシェの絵画のモデルとなった妻マリー=ジャンヌ・ビュゾ (Marie-Jeanne Buzot) ではないかと提唱されてきた[1][2]。しかし、フリック・コレクション (ニューヨーク) などにある彼女の肖像[3]は、本作の婦人とは似ていない。さらに、ブーシェが画中の婦人を少々下品な姿で描いていることにより、彼女が彼の妻ではないとする研究者たちもいる。ここに表されているのは当時の趣味に合致する典型的な「覗き見」の場面であり、婦人は着替えという普通の家庭内の行動の範囲で、自身の脚を見せている[1]

本作で、ブーシェは黄色に重点を置き、白、赤、青色の大きな色面を用いる非常に明瞭な色彩表現をしている[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g La Toilette”. ティッセン=ボルネミッサ美術館公式サイト (英語). 2025年10月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e 『週刊世界の美術館 No.50 ティッセン美術館』、2001年 17頁。
  3. ^ A Lady on Her Day Bed, 1743”. フリック・コレクション公式サイト (英語). 2025年10月30日閲覧。

参考文献

  • 千足伸行監修『週刊世界の美術館 No.50 ティッセン美術館』、講談社、2001年2月刊行

外部リンク




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