絵画の寓意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 13:39 UTC 版)
| フランス語: Allégorie de la peinture 英語: Allegory of Painting |
|
| 作者 | フランソワ・ブーシェ |
|---|---|
| 製作年 | 1765年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 101.5 cm × 130 cm (40.0 in × 51 in) |
| 所蔵 | ナショナル・ギャラリー (ワシントン) |
『絵画の寓意』(かいがのぐうい、仏: Allégorie de la peinture, 英: Allegory of Painting)は、18世紀フランス・ロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1765年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。初期の来歴ははっきりとしていない[1]。1946年にサミュエル・ヘンリー・クレス氏から寄贈されて以来、ナショナル・ギャラリー (ワシントン) に所蔵されている[1][2]。クレス氏からは本作の前年に制作された『音楽の寓意』も寄贈されているが、両作品は同じサイズで、主題も相補うものとして関連づけられている[1][2]。
作品
本作『絵画の寓意』と『音楽の寓意』では、絵画と音楽が美しいが個性的に表されていない若い女性として擬人化されている[1][2]。彼女たちは空を背景にして、うねる雲と思しきものに座っている。絵画の擬人像は鑑賞者に背中を向けている一方、音楽の擬人像は画面と平行に座っている。彼女たちの髪の毛はピンで留められ、首が露わになっている。身体はゆったりとした衣服で覆われているが、肩、脚、胸を露わにしており、実際には衣服とは呼べない代物である[1]。
2人はそれぞれの芸術にふさわしいアトリビュート (人物を特定する事物) に囲まれ、遊んでいるプットに付き添われている[1][2]。本作では、燃える松明を持つプットが楕円形のキャンバスにその姿を描いている女性のモデルを務めている。彼の隣にいる別のプットがその場面を見つめ、もう1人がキャンバスを支えつつ、月桂樹の輪を掲げている。『音楽の寓意』のプットたちも同じような動作をしており、1人は花輪を持ち、もう1人はリラの弦を引っ張っている[1]。
両作品は、ブーシェが晩年に好んだ自由闊達で素早い筆致を示している。数多くのペンティメンティ (描き直し) の跡は、おそらく画家が最低限の下絵をもとに直接描いていったことを示唆する。実際、本作『絵画の寓意』中の女性はモデルをチョークで素早くスケッチしており、それはブーシェ自身が用いた様式を示している[1]。
なお、サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館にも、『キューピッド (絵画の寓意)』と呼ばれる作品が所蔵されている。この作品では女性が登場せず、キューピッドが彫像を描いている[3]。
脚注
参考文献
- 『大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち』、エルミタージュ美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ、森アーツセンター、2017年刊行
外部リンク
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