ヴィーナスの化粧 (ブーシェ、ストックホルム)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/01 08:26 UTC 版)
| スウェーデン語: Venus toalett 英語: The Toilet of Venus |
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| 作者 | フランソワ・ブーシェ |
|---|---|
| 製作年 | 1746年 |
| 種類 | 油彩、キャンバス |
| 寸法 | 102 cm × 133.5 cm (40 in × 52.6 in) |
| 所蔵 | スウェーデン国立美術館、ストックホルム |
『ヴィーナスの化粧』(ヴィーナスのけしょう、典: Venus toalett、英: The Toilet of Venus)は、フランス・ロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1746年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。現在、ストックホルムのスウェーデン国立美術館に所蔵されている[1]。なお、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも、ブーシェが本作より後の1751年に別の構図で描いた同主題作が所蔵されている[2][3]。
作品
画面右側では、ローマ神話の美の女神ヴィーナスがビロードの長椅子に物憂げに座っている。彼女のゆったりとした姿勢と澄んだ表情は、本作を特徴づける自然な優美さを体現している[1]。
ヴィーナスの周囲には豪華な織物が見え、3人の女性が彼女のためにいろいろなことをしている。1人はヴィーナスの髪に真珠飾を着けており、もう1人はカラフルな花でいっぱいの籠を彼女に捧げている。3人目の女性は、おそらくヴィーナスの神性の象徴である繊細な衣服を持っている[1]。右側のキューピッドが場面に遊び心を付け加えており、彼はヴィーナスの足元に座って、真珠飾を引っ張っている。舞台は緑豊かな庭のようで、木々の葉の間からは青空が垣間見え、ヴィーナスの住む牧歌的世界を暗示している[1]。
ブーシェは、ロココ時代に特徴的な柔らかいパステル調の色彩を見事に駆使している。ピンク、青、金色が完璧に融合し、調和がとれ、視覚的に心地よい画面が生み出されている。拡散された光が作品の夢幻的な雰囲気をいっそう高め、鑑賞者をこの理想美と静穏な世界に没頭するよう招き入れる[1]。
脚注
参考文献
- 『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』、国立新美術館、メトロポリタン美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京、2021年刊行、ISBN 978-4-907243-20-3
- マーク・ポリゾッティ発行人兼編集責任者『メトロポリタン美術館ガイド』、メトロポリタン美術館、2012年刊行 ISBN 978-4-904206-20-1
外部リンク
- ヴィーナスの化粧_(ブーシェ、ストックホルム)のページへのリンク