ダフニスとクロエ_(ブーシェ)とは? わかりやすく解説

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ダフニスとクロエ (ブーシェ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/02 06:20 UTC 版)

『ダフニスとクロエ』
フランス語: Daphnis et Chloé
英語: Daphnis and Chloe
作者 フランソワ・ブーシェ
製作年 1743年
種類 キャンバス上に油彩
寸法 109.5 cm × 154.8 cm (43.1 in × 60.9 in)
所蔵 ウォレス・コレクションロンドン

ダフニスとクロエ』(: Daphnis et Chloé, : Daphnis and Chloe)は、18世紀フランスロココ期の巨匠フランソワ・ブーシェが1743年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。描かれている古典的な情景から、古代ローマ時代ギリシアの作家ロンゴスが著した恋愛物語『ダフニスとクロエ』に関連づけられてきた[1][2]。作品は現在、ロンドンウォレス・コレクションに所蔵されている[1][2]

作品

ブーシェは独自の「パストラル」 (牧歌) 主題の作品を発展させたが、それらの作品では優雅に着飾り、恋愛の礼儀作法に則った男女の羊飼いが登場する。本作は例外で、半裸の人物像が登場し、あからさまなエロティシズムが表現されている[1]

羊飼いの若者ダフニスは、横たわるクロエのそばに座り、彼女が安らかに眠る姿を愛情を込めて見つめている。彼らの周りには、牧歌的な生活の象徴が描かれている。ダフニスは羊飼いの杖を持っており、近くでは羊の群れが草を食んでいる。彼の足元には犬が寝そべり、2人の愛の牧歌的な特質をさらに強調してる[2]

情景は柔らかく暖かい光に包まれ、優しい雰囲気を際立たせている。また、緑豊かな木々や穏やかな川の景色を背景にした、緑豊かな風景は、ロマンチックな雰囲気を高めている。人物の優美なポーズ、繊細な筆致、調和のとれた構図にはブーシェに特徴的な様式が現れており、古典的な美と牧歌的な魅力の両方を体現した作品となっている[2]

ダフニスとクロエの人物像は、ブロンズ彫刻 (現存せず、最後の記録は1912年のもの) に忠実に倣ったものである。その彫刻は17世紀のイタリアの芸術家の手になる作品であったと思われ、ブーシェはその複製を見たに違いない。そうであれば、彼が自身の絵画のために彫刻を手本にしたという稀有な例となる[1]。本作の構図を描いた素描とダフニスとクロエの習作が現存している。ブーシェはブロンズ彫刻から出発し、ダフニスとクロエの人物像を準備するために工房の人物をモデルにしたのであろう[1]

なお、絵画は切断されている。本来の画面は丸みを帯びていたため、装飾プロジェクトにはめ込まれていたことを示唆する。人物像を仰ぎ見る視点は、絵画が高いところに掛けられていたことを仄めかす[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f Daphnis and Chloe”. ウォレス・コレクション公式サイト (英語). 2025年11月1日閲覧。
  2. ^ a b c d ダフニスとクロエ”. Feel the Artサイト (日本語). 2025年11月1日閲覧。

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